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Aの返事にパッと目を輝かせ、
嬉しそうな顔をするちーちゃん。
そんな顔見ると、やはりこちらまで嬉しくなり
Aは困ったように微笑んで見せた。
「…それで?どの先輩が好きなの?
ちーちゃんって確か手芸部だよね?部活の先輩?」
私が聞いてみるとちーちゃんは顔を赤くして
Aに顔寄せ、耳元で小さく呟いた。
「______三ツ谷先輩、だよ」
その日は1日、ちーちゃんの
恋バナと言うものを嫌と言うほど聞いた。
不良だけど全然優しい、とか
笑った顔が可愛い、とか 何と言ってもカッコいい、とか
もう完璧すぎる………らしい?
"三ツ谷先輩はモテるからな…"
と小さく呟いて、悩むちーちゃんを見て
本当に好きなんだと伝わってくる。
恋を楽しんでいるちーちゃんを見て、
少しだけ羨ましく思ったり……
______でも、やっぱり怖かったり。
そして私は、こんな時に
頼りになる幼馴染を頼る事にしたのだ。
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「あ、千冬。おかえりー」
「……………オマエな、自分家みてぇにくつろぐなよ」
自分の部屋を開けてみれば、
いつもの光景……に加え、幼馴染の姿があった
ベッドで肘をつきながら横になり、
棚から取り出した漫画本を読んで
足を軽くバタつかせる。
そのせいで制服のスカートが捲れそうで
千冬は目のやり場に困りながら 少し顔が熱くなる。
玄関には家族のものではない
一つのローファー、また母からの
"Aちゃん来てるわよ"の言葉で
彼女が来ている事は分かった。
相変わらず無防備だな、と
千冬はため息をつきつつ
部屋に入ると鞄を置き、床に座る。
「_____で?今日はどうした?」
尋ねるように聞くと、Aは読んでいた漫画を閉じ、
体を起こして立ち上がり、千冬の前に同じように座った
大抵、彼女が自分の部屋にいる時は学校で何かあった時
"聞いてよ"と、愚痴のようなものを千冬に吐くA。
そんな彼女を見ると、自分にだけ
心を許してくれているような気がして、
千冬は嬉しかった。
ただ、今日は少しだけ様子が違くて…
「ねぇ、千冬」
「ん?」
部屋の隅にいたペケJが"ニャー"と
鳴き声を上げながら伸びている。
その鳴き声が切れた時、Aは口を開いた。
「______恋愛相談したいんだけど…」
「______は?」
千冬は思考が停止した。
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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時