consult.32 ページ32
・
「……うーん…これにしようかな…?」
「………つーかオマエ、
ヘアゴムなんて買うやつだったか?縛ってねぇじゃん」
飾りのついたヘアゴムを手に取ったA。
それを見て、普段髪の毛を下ろしている彼女に
そのヘアゴムが必要なのかと千冬は不思議に思った。
「髪、伸ばしてみようと思って…」
「…切らねぇのか?」
「うん。ちーちゃんに
伸ばしたのも似合うって言われてね…
ね!千冬!これとこっち、どっちがいいかな」
「…変わんなくね?色違うだけじゃねぇの?」
「…………流石 千冬。全然分かってないね」
「だから…褒めねぇのに流石って言うなよ。
それと、オレに聞いても
分かんねぇって思ったんなら最初から聞くな」
相変わらず表情がコロコロ変わる彼女。
見てて飽きないなと改めて千冬は思った。
見せてきた2つのヘアゴムを見比べ、
どちらを買おうか悩んでいる。
……どっちでも良いじゃないか。だって、
「(だってオマエは何付けたって
似合っ…………てんだよ、クソ!)」
"こっちにしよ"なんて、
呑気に声を上げるAは
千冬が顔を逸らした事に首を傾げていた。
熱くなった顔を冷まそうと、
千冬は頭の中のAを追い払うのだった。
「(………髪、伸ばすんだな。絶ッ対ェやべぇ)」
・
「千冬。付き合ってくれてありがと。
お礼に何か奢るよ。クレープ食べて帰ろ!!」
「何かって、既に決められてんじゃねーか。
オマエが食いたかっただけだろ。
…ま、いいぜ。奢ってくれるんなら何でも」
「……そこはさ、礼とかいらないってとこじゃないの?
女に奢らせます?普通」
「は?先に言い出したのはAの方だろ…
オレは奢るって言われたから乗っかっただけ。
それに、付き合わせたのはどこの誰だ?」
「ハイ、私デス。奢りマス、奢らせて下サイ」
千冬のケーチ、なんて言葉は心に留めておく
フッと鼻で笑って楽しげな千冬は
今日の放課後みた中で一番楽しそうに見えた。
それもそうか…男の子は
買い物に付き合わされるのが嫌いらしいし…
付き合わせたのは私。仕方がない。
クレープ食べたいし、千冬の分も奢ろう。
ただし!クレープは選ばせてくれ!
あんまり高いのはやめて頂きたい。
314人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時