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「……うーん…これにしようかな…?」




「………つーかオマエ、
ヘアゴムなんて買うやつだったか?縛ってねぇじゃん」









飾りのついたヘアゴムを手に取ったA。


それを見て、普段髪の毛を下ろしている彼女に
そのヘアゴムが必要なのかと千冬は不思議に思った。









「髪、伸ばしてみようと思って…」




「…切らねぇのか?」




「うん。ちーちゃんに
伸ばしたのも似合うって言われてね…
ね!千冬!これとこっち、どっちがいいかな」




「…変わんなくね?色違うだけじゃねぇの?」




「…………流石 千冬。全然分かってないね」




「だから…褒めねぇのに流石って言うなよ。
それと、オレに聞いても
分かんねぇって思ったんなら最初から聞くな」









相変わらず表情がコロコロ変わる彼女。


見てて飽きないなと改めて千冬は思った。


見せてきた2つのヘアゴムを見比べ、
どちらを買おうか悩んでいる。


……どっちでも良いじゃないか。だって、









「(だってオマエは何付けたって
似合っ…………てんだよ、クソ!)」









"こっちにしよ"なんて、
呑気に声を上げるAは
千冬が顔を逸らした事に首を傾げていた。


熱くなった顔を冷まそうと、
千冬は頭の中のAを追い払うのだった。









「(………髪、伸ばすんだな。絶ッ対ェやべぇ)」









 














 




「千冬。付き合ってくれてありがと。
お礼に何か奢るよ。クレープ食べて帰ろ!!」




「何かって、既に決められてんじゃねーか。
オマエが食いたかっただけだろ。
…ま、いいぜ。奢ってくれるんなら何でも」




「……そこはさ、礼とかいらないってとこじゃないの?
女に奢らせます?普通」




「は?先に言い出したのはAの方だろ…
オレは奢るって言われたから乗っかっただけ。
それに、付き合わせたのはどこの誰だ?」




「ハイ、私デス。奢りマス、奢らせて下サイ」









千冬のケーチ、なんて言葉は心に留めておく


フッと鼻で笑って楽しげな千冬は
今日の放課後みた中で一番楽しそうに見えた。




それもそうか…男の子は
買い物に付き合わされるのが嫌いらしいし…

付き合わせたのは私。仕方がない。


クレープ食べたいし、千冬の分も奢ろう。


ただし!クレープは選ばせてくれ!


あんまり高いのはやめて頂きたい。

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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時

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