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「そっか…周りの奴らと同じ、か……______ふっ」
Aはその目を見開かせた。
目の前の三ツ谷はふと笑ったのだ、確実に。
それと何処か目を細め、安心したような顔を見せる。
どんな心境の変化が起きたのか、理解できない
「怖いじゃなくて嫌い、か。俺はてっきり、
不良だから怖がられてるんじゃねーのかなって
思ってたからさ」
"だから少し安心した"と、三ツ谷は言った。
あ、そういえば…
というレベルで彼が不良な事を思い出す。
身近に不良達がいるせいか、
感覚がおかしくなってきていると
心の中でため息をつくA。
不良なら怖がられるのは当然か…
まあ、身近に不良がいるから
慣れていますなんて言葉にはしない。
不良が怖いという印象は分からなくもないが、
不良は不良でも人の本質はそのもの。
三ツ谷という先輩は誰彼構わず
突っかかるタイプではないのはすぐに分かる。
…けれど、不良と言っても彼の場合
そんな事を気にする必要はあるのか。
それは部活が良い例。
彼は怖がられている雰囲気はあまりなく、
むしろ慕っている人の方が校内では多い方だと思う。
だからこそ、
そんな人がただの後輩である自分1人に
怖がられているのではないかと思ったのか、
それをどうして気になったのか…
Aには理解できなかった。
「……意味が、分かりません。
私は今、貴方を嫌いと言いました。
先輩相手に生意気な口言ってると思いますけど
…それでも、安心って…笑う意味が分かりません」
先輩相手に真っ向に嫌いと、
そう言った言葉は生意気だったと思っている。
けれど聞かれたから答えるしかない、
それにこれは妙に付き纏ってくる先輩が悪い。
意味がわからないと眉を寄せ、
三ツ谷から顔を背けるA。
「怖がられてないのは俺にとっちゃ嬉しいんだよ。
嫌いは、まあ…それなりにきたけど…
でも、それはこれから変えてけばいいんだしな」
「…変える?」
「怯えられてねーんじゃ、俺はこれからも
Aちゃんに話しかけられるし」
「……それが迷惑なんですけど」
怖がられていなければ話に行けると、
そう言った三ツ谷の言葉に嫌な思いはした。
けれど、その言葉的には少なからず
彼の優しさは含まれていたのかもしれない。
怖がらせていたら話しかけない、と。
……だったら怖いと言えば良かっただろうか。
怖いという表現も間違いではない。
嫌いという感情が大きいだけで。
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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時