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rumor,162 ページ42











今は、千冬の強引さに救われたなと
雪村は思っていた。


千冬の母にあんな事を突然言われて、
思考が停止した。


足も動かなくて、千冬が
手を引いてくれたことには感謝だ。









「…はぁ………悪い、
あいつが変なこと言って…」




「い、いやいや、そんな…
勘違いは誰にもあることだから、うん」




「ま、オレとしては 母さん…あいつは、
良く言ってくれたなって思ってるけど」









明らかにまだ動揺している雪村を見て
追い討ちをかけるように千冬が発言する。


横目で見てくる雪村からの視線に
ニッと笑って見せれば、目を逸らされる。


目を逸らした雪村は、千冬の部屋を見回した。


そうだ、今自分は…千冬の部屋にいるんだと
段々に実感してきて、更に緊張感が増す。


そして部屋で、猫を見つけた…









「あ…」




「あれがオレの猫…っつっても、
前に来た時見たんだっけ?」




「…ううん、見かけたって感じ、かな…
ちゃんと見るのは今日が初めて」









"そうか"と短く返した千冬は猫の方に目を向けた。









「オイ!ペケJ!帰ったぞ」









部屋の隅で丸くなっていた猫は
ゆっくりと千冬達を見て、"ニャー"っと鳴いた


猫は立って、こちらへと歩いてくる。


千冬の姿と雪村の姿を交互に見た後、
フイッと背中を向けて
また部屋の隅へと歩いていった。









「…あー、悪い…こら、ペケJ!
Aに挨拶しろ!」




「怒らないで、千冬。私は全然気にしてないし
…それに、あれが猫らしいと思わない?」









ペケJの態度にため息をつく千冬に
雪村は笑って見せた。


雪村は自分の猫も、最初はあんなで
飼い主以外には懐かないし
興味も示さなかったと千冬に話す。


あれが自由な猫らしくて、
ペケJも可愛いねと言った。


"ペケJ"という名は
どこから来たのかと聞いた雪村に
"バイク"の名前から取ったと話す。









「そっか…じゃあ、結構
ヤンチャしてる猫なんだね」




「!何で分かんだよ!!
オレ、今こいつの名前のことしか
話してねぇだろ!!?」




「え?そりゃ分かるよ…
バイクの名前がついて、
更に千冬が飼い主でしょ?
ヤンチャだって想像はつく」









ポカンとする千冬にニッと笑った雪村は
猫を見て、ゆっくりと歩み寄る。


猫とある程度の距離を取ったまま、
その場に座ると静かに猫を見つめた。

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加藤 - ほんとにこのお話好きです((頑張ってください!!待ってます!(^^) (2021年10月10日 4時) (レス) id: e4bf03ea74 (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - 加藤さん» 面白いお話なんて言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます!!更新出来る様に頑張っておりますのでもう少しお待ち下さい!コメントありがとうございます!! (2021年10月9日 22時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)
加藤 - とても面白いお話で更新されるのが待ち遠しいです!楽しみにしてます (2021年10月9日 9時) (レス) id: e4bf03ea74 (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - がーべらさん» そうなんですよ、限界が…()オールおっけぃですか!なら良かったです(オイ)今後の展開に色々悩んでおりますが、お待ち頂けたら嬉しいです!いつもコメントありがとうございます!! (2021年10月6日 0時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - みーさん» いえいえ、そんな…!あっちこっちでコメント嬉しいですよ!!ありがとうございます!!えっ、えっ!!?伝わりました!!?()マイキーと千冬の2人に少しでも重ねられたらと思ってたのですが…みー様に伝わって嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年10月6日 0時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結祈華 | 作成日時:2021年9月19日 0時

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