それ、わたしじゃないです。４【佐野万次郎】

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だからそのウルっとした目で
そう言う聞き方はずるいって！小悪魔!!









「場地さんは、オレに気をつかってくれたんだと思う。

オレがAを好きって知ってるから、
邪魔したくないって…」




「…千冬……」




「Aは…オレと2人は、嫌？」









スルッと、千冬が私の手を離す。


…正直な所、こんな弱々しい千冬は
珍しいなと思った。


いつも私に対して恥ずかしい事をしたり、
悪戯っ子の顔してたり、
笑っていたり……元気な子だと思った。


でもそれは多分違くて、
本当は不安でいっぱいなんだと思った。




……初めてって、言ってたもんね。


でも、私も初めてなんだよ…色々と。




離されてがら空きになった手を
私は上へと動かして、
不安そうな顔をする千冬の両頬を軽く摘んだ。









「ッ、A!!?」




「千冬」




「！は、い…」









目を丸くする千冬に私は優しく微笑んだ。









「さっき、楽しみにしてたって
私千冬に話してたよね？
そんな自信のない顔しないで。
私キミにはいつもみたいに笑っててほしい」




「……A」




「いつもみたいに可愛い笑顔でいてよ」




「……………………可愛いは、何か…嫌だな」




「…私の前では、飾らなくて良いから」









カッコつけたり、無理して性格を作らないで…
そのままの千冬でいてほしいという
思いを込めて真っ直ぐに私は言った。


千冬の頬から手を離し、
今度は私から千冬の手を握った。


…あ、もちろん恥ずかしいから
恋人繋ぎじゃないよ。









「じゃ、行こ！」




「ッ」









先程とは逆に、今度は私が
千冬の手を引いて走り出した。


千冬は驚いた顔のまま…
でも、手を離すことはなく
私に合わせるように走ってくれる。









「今日は色々と食べたい気分なの！
千冬、付き合ってね」




「え？」




「ここ最近、ずっと甘いの食べてないの。
だから…千冬、一緒に食べるの付き合って!!」









　









・









　









手を繋いだまま、街の方に来た私達。


学校の近く程、周りからの視線は感じなくて

きっと、知らない人から見れば
私達はただの学生のカップル、
くらいに見えてるんだろう。


まあ、おかしくはない光景だよね。


…………いや違う、おかしくなくはねぇな


だって私…千冬と
カップルに思われてるって事でしょ!!?


そりゃダメだな…

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