それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】

rumor,06 ページ7

真剣にそう言葉にしてる彼とは違い、
私は多分 間抜けの顔をしてるだろうなんて思う




_____オマエ、オレノコトスキナノ？




いや、まって…そもそもあなた誰？









「何、言ってんですか？」




「だっておまえ、
Aって名前の女でしょ？」




「そう、ですけど…」




「Aちゃんは
佐野くんのこと好き、なんだろ？
そう聞いた」




「いや、だからそれは___」




「オレ、その佐野クンだから」




「___は？」









本日、3度目の"は？"が出た。


私は必死に頭を動かした。


目の前でニコニコしてる彼を見ながら
必死に考える。









　









　









『でも、見れば分かるけど
佐野っていつも笑っててさ
そんな雰囲気無いんだよ』









　









　









佐野クンという男は誰なのか、
明那に聞いた時の会話を思い出す。


いつもニコニコ…
あぁ、この謎に良い笑顔のことか。


確かに、明那のいうように
不良なんて面は、今の彼からは想像もつかない


顔だって整っているし、
モテ男だというのにも納得がいった。


だが！私は別に好きじゃない!!









「それ、わたしじゃないです」




「は？…だっておまえ、
Aチャンでしょ？」




「Aですけど違います。
あなたを好きなのは
"唯さん"という私と別クラの子です」




「………誰？」




「ついこの間まで
そんな噂流れてたでしょーが!!」









いや、誰って言ったよこの人誰って、

唯さん知らない男子が
同学年なのにいる筈がない。









「オレが聞いた噂は
おまえがオレの事好きっていう噂だよ」









ダメだ、この人には話が通じない…


屋上に来るまでもそうだったが、
この佐野クンは
かなり話を強引に進める人だと思った。









「いや、私 おまえの事
何とも思ってねーし 知らねーよ」




「えー？………またまた〜、照れちゃって♡」




「照れてねーし！
知らないあんたを
私が好きになるわけないじゃん」




「だってそれ、照れ隠しでしょ？」









う"ーん、やっぱり話が通じない。


どうしたものか、
というより屋上に連れてこられて
どういうつもりなんだこの人。

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