それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】 (ページ47)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:910,472 hit

rumor,43 ページ47

「好き」

「え？…へへっ、私もAさん好きだよ」

いつも、明那に告白すれば
ウザがられてしまう…

それなのに、唯さんに告白されたら
私も好きって言われたよ!!?

なんか泣けてくる。

「それにね、私も
最近佐野くんとお話しするようになったの」

「えっ!!?ほんと!?」

「うん！」

満面な笑みで頬を赤らめる唯さんは
完全に女の子の顔をしていて…
すっっっごく可愛かった、うん。

「もしかして、Aさんが
佐野くんに何か言ってくれたんだよね」

ニコッと笑う唯さんの言葉を
頭の中で唱える。

私が佐野に言ったこと…

ああ、そういえば
たい焼き食べに行った時
唯さんと話してあげてって言ったっけ？

佐野、ちゃんと私の頼み
聞いてくれたんだ…

「それなら良かったよ」

「やっぱりAさんのお陰なんだね！
ありがとう!!」

「ううん、私は特別な事は何も…
唯さんと話してあげてって、ただそれだけ」

「それだけじゃない!!
ありがとう！Aさん」

キラキラな目をする唯さんに手を握られて
何だか照れくさくなる。

こんなにまでお礼を言われる事なのか、
よく分からないけど
とりあえず嬉しいっス、めっちゃ。

「確かに、よくやったよね、あんた」

「ッ!?」

唯さんの声じゃない声が、上から聞こえて
その方向を振り向いてみれば
ダルそうに立っている凛さんがいた。

「あ、凛ちゃん…おはよう」

「おはよう、唯」

「お、おはよう、ございます…」

「………はよ」

…ん!?凛さんが、挨拶返してくれたぞ!?

凛さんが、私に…
唯さんじゃない私に、挨拶を返してくれたぞ!?

「ま、佐野に唯を
プロデュースしたのは上出来」

プ、プロデュース…？

ってか、凛さん話聞いてたんスか…

「あ、あざっす」

「もー、凛ちゃん
Aさんにその態度は失礼だよ」

「でも、あんたと佐野の噂が
耳に入るんだけどどういう事

あと、そこの席_____」

「凛ちゃん!!」

やっぱ凛さんは近寄り難いな…

唯さんのお陰で凛さんは何も言わなくなって
そのまま自分の席に歩いて行った。

そこの席…凛さんまで？