三十五話。 ページ37
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「…遠井さんは?」
しょんぼりした莉犬が力を失ったようにあかねちゃんを見る。
いやー…あかねちゃんはジェルk…いや、なんでもないわ。
「遠井さんはジェルく…」
「おいさとみ、それ以上言ったらどうなるかわかってる?」
ほら見てよ…。
ジェルくんという名をあかねちゃんに向けたら恐ろしいのよ。
認めたくないのかしら?
認めちゃえばいいのに。
たぶんジェルくんはあかねちゃんのこと好きだし…。
「ジェルはしつこいだけよ…付き合ってるとかなんとかはただの噂だし…」
あかねちゃんがむっとしたようにそっぽを向いた。
私はいろいろあってこうなったけど、みんなそれぞれ叶えばいいわね。
「でもまあ…ジェルは、良い奴っちゃ良い奴よね」
あ…。
ちょっと頬が赤くないですか!?
まあ良い奴だけども!その声の感じは恋愛感情が…え!
いや私、こんな性格でこんな口だけどコイバナとか意外と好きなのよね。
恋する女の子を見るのが好きなのよ。
だって可愛いじゃない。
自分は恋してても不純な事ばっかりで可愛くなかったけど。
その時…ピンポーン、と家のチャイムが鳴った。
「あれ、誰だろ」
さとみくんがそう言って玄関に出ると、そこにはジェルくんとなーくん、ころんがいた。
けっきょく全員揃っちゃったらいつも通りじゃないの…。
「久しぶりに俺らだけでさとちゃん家に来ようと思ったら、お揃いやったか」
「やっぱり、考えることは同じだよねー」
「さとみくん家は第二の我が家だからね」
三人が遠慮もなく入ってくる。
第二の我が家って…めんどくさいからもうこの家住めよ。
私がそんなことを思っていると、さとみくんと目が合った。
「A、なんか不機嫌?」
「ニャ…」
べつに…ちょっとお腹すいただけ。
ご飯の時間までまだ時間あるし、それまでは我慢するから。
「トイレ行きたいんじゃね?」
おいころん、今なんつった。
乙女に向かって何言ってんだ。
そんなだから女からモテないんだよ……
と言いたいところだがモテてるから何とも言えないのが悔しい。
この六人はいっつもキラキラしてるもんな。
男女ともに人気高いとかなによ。
私なんか男子人気も女子人気も今一つだったぞ、……まあ別にいいけども。
でもどうせならモテた方が良いじゃない?
モテて損はないでしょ。
……こんなこと言ってるからモテないんだよね、分かってますよ。
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影の黒鷺 - 絵宙(えそら)さん» ユーザー認証…私が見るときには出てこないんですけど…どうなんでしょう。こちら側としては設定していないので、運営さんのバグですかね…。運営さん…(´;ω;`) (2020年5月26日 16時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ユーザー認証が必ず出てくるんですが私だけですか…?(´ ; ω ; `) (2020年5月26日 10時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 影の黒鷺さん» 私の小説も読んでくださってたんですね!とても嬉しいです泣 これからもお互いがんばりましょーね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - ゆらさん» そんな風に言っていただいて本当に感謝しかないです…!私もゆらさんの小説が大好きでいつも見させていただいております。応援ありがとうございます、励みになります(*´ω`*) (2020年4月10日 22時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 黒鷲さんの作る小説って、キャラ設定がしっかりしているうえに、それがブレちゃわないところがすごいと思います。。。夢主ちゃんのツンデレな性格がとても可愛いんだけど、さとみくんと気持ちがすれ違っちゃうともどかしくなっちゃいますねwこれからも応援してます!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影の黒鷺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kagenokurosagi/
作成日時:2020年4月3日 15時