ep.21 ページ23
私は夢を見ていた。
凄く幸せな夢。
隣にはあの人が笑っていて
新東京ではなく、旧東京で平和に暮らしていた。
あぁ。そうか。
あの新東京のほうが夢なんだ。
そうだ。きっとそう。
そうすればあの人は私の隣にいてくれる。
その時突然目の前が暗転した。
明るくなるとそこはもう幸せな旧東京ではなかった。
倒れた人々。助けを求める人々。
あの人を抱く私。
泣いている私。
どうしようもできない私。
あの時私がーーーーーーーーーーーー
バサッ！！！
A「…っ！！！」
私は身体を勢い良く起こした。
身体は汗をかいており、息が荒く肩が上下する。
手も震えているようだ。
A「なんで…幸せな夢を見せてよ…。
夢の中でも堕とさないでよ…。
幸せに…させてよ…。」
一人の部屋でつぶやく。
言葉を発している内に、涙が流れてきていた。
A「何でこうなっちゃったんだろう…っ…。
私が…未熟だったから…？」
答えなんてないのに問う。
自分自身に問う。
A「違う。
私が…弱かったからだ……。」
涙はとめどなく流れてくる。
起きてから15分程たっただろうか。
私は時計を見る。
A「3時…。
…自販機…行こうかな…」
私は腫れた目でベッドから降りた。
自販機は一番近くて娯楽の階にある。
私は財布を持ち、部屋を出た。
ガチャ…
A「…へ？」
涼「…え？」
ほぼ同じタイミングで隣から人が出てきた。
その人は勿論、涼だ。
A「涼…どうしたの？」
私は涼に近づき話しかけた。
涼「あ…いや…。
ちょっと夢を見て…喉かわいたんで自販機にでもって…。」
まったく同じだった。
私は驚くことしかできない。
A「そうなんだ。
私も自販機なの。
一緒に行かない？」
私の誘いに、言葉では無くコクリと首で応答した。
涼が話さないなんて相当怖い夢を見たんだろう。
私たちはとりあえずエレベーターに乗り娯楽の階へと進んだ。
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作者名：かえぴょん | 作成日時：2015年5月20日 7時
