ep.16 ページ18
その後、私たち二人は実態調査隊と場所を代わり報告の為に本部に戻った。
涼のバイクは中型だったので私は後ろに乗せてもらった。
本部では、突然の怪蟲の出現にばたばたしていた。
でも少し気になることがある。
あの蟲は確かに
『私』を狙っていた。
周りに人間がいなかったと言われればそれまでだが、後ろから気配を消して襲われるなんてこれまでなかった。
涼「Aさん…?どうかしたんですか?」
涼が私の顔を覗き込んでくる。
A「…いえ、何も。…日向がいないなと…。」
本部に戻ったのはいいが、日向を見かけない。
もう帰るなどということはあの日向に限ってないはずだ。
…本部長のところか…?
涼「本部指揮官ですか?
…確かにいないですね…。
あ、でも紫苑くんは…
ほら、そこ!」
涼は指を指して言う。
そうか、補佐の紫苑くんなら日向の場所がわかるかも。
そう思い紫苑くんに近づく。
A「紫苑くん。日向どこにいるかわかる?」
紫苑くんは私の声でふっと顔を上げて私を見る。
透き通る赤い瞳。
紫苑「日向?わからない。僕も探しているところだ。」
A「紫苑くんもわからないの?」
嫌な胸騒ぎがする。
紫苑「あぁ。トイレを出たらいなくなっていた。
どこに行ったのか…」
日向に限ってそんなことあり得ない。
何も言わずに去るなんて。
紫苑「…って言ったらAはどうする?」
……え?
涼「紫苑くんそれは酷いよ。
Aさん。紫苑くん、本部指揮官の居場所知ってますよ。」
A「それはわかるわ。今の紫苑くんの言い草じゃあね。」
涼は苦笑している。
紫苑「実は、日向から伝言を預かっている。
A。
本部長が呼んでいる。一人で本部長室に。」
やっぱり知ってたんじゃない。何で嘘なんかついたのよ。
紫苑「つまらないだろ?
かるーいジョークだよ」
紫苑くんは不敵な笑みを浮かべる。
A「で?日向も本部長室?」
私は小さなため息を吐きながら問う。
すると、後ろから声がした。
日向「あら?A。
おかえりなさい。まだ本部長のところ行ってないの?」
何も知らない日向が登場。
A「まあ、それどころじゃなかったからね。
今からいくよ。紫苑くん伝言ありがとう。
涼は日向達と一緒にいてくれる?」
一人で。呼ばれたのは私一人。
涼「了解しました!
本部指揮官。紫苑くんお願いします。」
涼は爽やかスマイルで2人に軽くお辞儀した。
私はそれを見てから本部長室へと足を向けた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かえぴょん | 作成日時:2015年5月20日 7時