邪神の館【wrwrd】 (ページ2)

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暫く扉と格闘してから諦めて自分も皆様が食事をしている部屋に向かう。邪神といえども基本朝は同じらしい。部屋を確認したが残っていたのは鬱様だけだったのできっともう食事を始めているだろう。

使用人は基本主人と同じ扉から入らない。
こういう時は厨房の方から食卓へ抜けるのだ。
厨房の鍵を取り出そうとエプロンのポケットに手を入れる……が何もない。

たらりと冷や汗が頬を伝う。
反対のポケット。ない。床に落とした…！？と思い、きた道を戻るがどこにもない。

『無い！無い！無い！！何で！？どこで！？どうしよう！！』

叫びながら自身の部屋、使用人室へと向かう。
扉に目を向ければそこにはあんまり綺麗では無い文字で「マスターキーは頂いた！ゾムーク」と書いてある紙が貼ってあった。

『ふ、ふふ、ふふふふ……』

引き攣った笑い声を上げながら紙をベリッ！！と剥がしグシャグシャに丸めて床に投げ捨てた後走って食卓に向かう。

ぜーはーと肩で息をしながら扉を思い切り蹴って開けると全員の目がこちらに向いた。

『……ゾム様、鍵を…返していただけますか？』

zm「あー…そういえば何か取ったな…あ！せや！」

先程会った緑色のパーカーを被った男。名をゾムという。周りには白いふわふわとした霧の様なものが細くたなびき舞っている。

言わずもがな邪神。アブホースである。

不浄なる不安定な神。常に分裂を繰り返しては自らの分身体を貪っている。自身がよく食べるのは構わないが周りの者に無理やり食わせるのはやめていただきたい。尚、それを食害という。

彼を睨みつけながら言うとゾム様は慌ただしく目を泳がせた後パッとなにかを思い出した様に叫んだ。

zm「紫さんに持っててって渡したんや！」

『………は。本当ですか？』

紫様、シュプ＝ニグラスという数少ない女邪神。千の仔をは.らみ黒き子山羊を産み落とす。他にも境界を操れるらしい。「スキマ」と呼ばれる亜空間を作り出すことが可能。エーミール様の教え子だとか何とか。

ギギ…とぎこちなく紫様の方を向くときれいな金髪を揺らした彼女はひらひらと手を振った。
隣に座るエーミール様は申し訳なさそうに紫様と私を交互に見ている。

『……返していただけますか？』

紫「どうしようかな～」

em「君のそういうとこイラつくよね。」

色素薄めの髪を揺らして紫様に毒づく。彼は基本温厚で紳士的だが若干紫様にあたりが強かったりする。

てか返せよ。