厄災一つ ページ6
「此処みたいっすね」
『大きいね』
盈月と虧月は眼前に聳え立つ大きな門に首を上
げてその門の天辺を見上げた。
「立派なもんすね……」
『門だけでも凄いもんね』
首が痛くなる程に見上げてだらしなく開けた口
から出るのは感嘆の声。
立派に聳え立つ門に只々呆然とそれを眺めた。
『えーげつ！えーげつの肩に立ったら門を飛び越えられるかな？』
「えぇ……何すかそれ……出来てもめんどくせーですよ。それに、あんた自分の体質忘れてねーですか？」
『体質？』
「いや、あれだけあっても無自覚かよ……」
二人揃って見上げているなか、不意に虧月が盈
月の袖を引いてその双眸を期待に輝かせて盈月
を見上げる。
しかし元来の彼の性質も相まって、期待から目
を反らすようにその美しい顏を反らすと仰ぎ見
るように門を見つめた。
『えー……じゃあ、扉の金具外しちゃうとか……』
「何すか"とか"って」
『扉の金具外したら扉どうなるのかなぁって！やっぱり倒れちゃうのかな？』
「つーか、あんたは普通に開けれねーんですか」
初めて見る大きく立派な門に好奇心は尽きない
のだろう……。
言う端々から却下される提案に虧月もそれじゃ
あと違う方法を提案するが、盈月も中々折れず……
此処へと辿り着いて既に十五分は経過していた。
……最早、何のために此処に訪れたのか……彼等の
頭には無いのだろう……。
「ねぇ……何時までそうしてるつもり？」
終わらない堂々巡りに痺れを切らしたように門
が開くと、呆れたような青年の声が掛けられた。
第三者の介入に虧月と盈月はやっと口を止める
と、開いた扉に立つ赤い衣の青年に顔を見合わ
た。
『開いちゃったね』
「そうっすね」
「新しい審神者でしょ？着いてきて、案内するから」
二人のペースに合わせていたら話は進まないと
思ったのだろう…。
青年は二人を門の中へ招き入れると、歩みを進
めながら説明に口を開いた。
「俺は加州清光、この本丸じゃ一番の古株だよ。説明は聞いてると思うけど、此処は所謂ブラック本丸ってところだから……一応、用心しておいて」
『ブラック本丸のブラックって何だっけ？』
「屑の審神者ってことじゃねーですか？」
『家の色は黒くないんだねー』
「話聞いてる？」
しかし如何せん緊張感が無いのか……
何処か他人事のように話すばかりか、虧月に至
っては足元のダンゴムシに気を取られる始末…。
流石の加州も不安に声を掛けざるを得なかった。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
