厄災三十と五 ページ40
『？？』
突然自身の頭を撫でる手に虧月が不思議そうに
岩融を見上げれば、岩融はそれにニッと笑って
みせると、虧月の小さな体を持ち上げて自身の
肩に座らせる。
普段よりも高い景色に虧月は驚きよりも嬉しさ
が勝ったのだろう……
両目を輝かせて満面の笑みを浮かべた。
『高い！！えーげつより大きい！！』
「はっはっはっ！何せ俺は薙刀だからな！……それより主よ、そこまで林檎が気になるなら、今からやって御覧にいれよう！！」
『本当！？』
「あ、ずるいですよ！岩融ばかり！ぼくも主様といっしょにやりたいです！」
「なら皆でやるとしよう！」
「ちょっと、主の髪整えてからにしてよね！」
「主様、この小狐めもお供させてください」
主を肩に乗せて、厨へと足を進める岩融に他の
刀剣が続く。
「そもそも、林檎あるか分かんねーですけどね」
わいわいと、少なくとも虧月達が来てから一番
の盛り上がりを見せて、楽しそうに連れ行く集
団を、傍観していた盈月がため息と共に呟い
て、ゆったりと足を進める。
その姿に三日月はクツリと笑うと、袖を口元に
寄せて惚けるように首を傾げてみせた。
「斬るとはいかずとも殺気程度は飛ばすと思えば……存外寛大らしい……。」
『急に何ですか？めんどくせぇ……』
面白いと言うような声色と細めた双眸に若干の
嘲笑も含まれていて……。
振り返らずとも感じる三日月の様子に、歩みを
止めた盈月がため息を吐き出して背中越しに三
日月に応えた。
「なに……此方としても、お前の堪忍袋がどれ程のものなのか、確認はしておかねばと思ってな……」
「何でンな小難しく考えるんすかねぇ……同じ”古い”刀でもこんなに変わるもんなんすね」
めんどくさいとばかりに気だるげな声を出しな
がら、虧月に結わえて貰った髪の先を弄る。
「……でもまぁ……」
そのまま三つ編みを一つ撫でると顔を三日月へ
と少し傾けて流し目にその姿を映した。
「確認するようなことをする予定でもあるんですかね？」
「なに……あくまでただの確認だ……」
冷たい色を宿した瞳が、真っ直ぐと双眸に浮か
ぶ三日月を見つめる。
揺らぐことのないそれに、盈月は瞳を閉じると
面倒くさそうに後頭部に手を当てて、重くため
息を吐き出しながら三日月へと体を向けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【刀剣乱舞】神に愛されし人の子がブラック本丸撲滅します。第2章 【刀剣乱舞】顔を見せない審神者は愛されている事に気付かず、今日も隠すらしい。壱 【刀剣乱舞】笑顔の少女はブラック本丸に行くみたいです。参もっと見る
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
