厄災二十と一 ページ26
『さっぱりしてお腹いっぱい大満足!!』
……あれから、今剣を三条の部屋に送り届けた虧
月達は浴室へ直行し、汚れを落としたところで
虧月の希望していた夕餉に舌鼓を打った。
寝間着に着替えた虧月が収まった生理的欲求に
満足気に笑って寝転ぶ。
その細い手足、頭には包帯が巻かれてはいるも
のの、痛みに悶えることなく満足気にだらしな
くも畳の上に寛ぐその姿に加州と盈月がお小言
を溢しつつも困ったように笑みを溢した。
「……それにしても……本当に良かったの?」
「何がっすか?」
夕餉の片付けに肩を並べて食器を洗いながら加
州が切り出す。
気だるげに食器を拭きながら盈月が相槌を打て
ば、加州はどこか不満気に眉を寄せて食器から
盈月へと視線を移した。
「何……て、主のほかに何があるんだよ。……いくらなんでもあのあとに主をひとりにするのは危険なんじゃない?……しかも、"結界"を解いちゃうなんて……」
「あー……それか…」
「前から思ってたんだ……盈月は主を守るなんて言いながらも、こうして俺と夕餉の準備だったり片付けのときに主をひとりにしてたけど、いくら部屋に結界が張ってあったからって無防備だったと思うんだ」
洗い終えた食器を置いて盈月に向き直る。
「主を本当にしっかりと守るなら、どちらか片方が部屋に残るべきじゃない?……なのに、なんで……」
「…………」
厨に食器の音だけが響き渡る……。
加州の言葉に盈月は残された食器を拭くと、そ
れを重ねてやっと口を開いた。
「まず……今の現状から話すと……"あの時"主は何をされても"怒らない"っつったんですよ……つまり、あんたらに何されても"受け入れる"って意味なんすよ」
「受け入れる……て……」
「そして…………まぁ、これが一番の理由ですけど……」
加州の瞳を真っ直ぐに見つめ返して淡々と言葉
を紡ぐ。
しかし、次の理由を言葉にしようと口を開いた
ところで気まずいとばかりに首に手を当てて目
を加州から反らす。
「あー……なんつーか……これは俺の我が儘でもあるんで言いずらいんすけど……」
それを追うように加州も盈月の視界に入るよう
に動けば、反らした視線を渋々と加州へと戻す
と鈍くも口を動かして言葉を続けた。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください!めっちゃ好きです! (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます!!楽しみだと言っていただけて嬉しいです!最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります! (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます!!重症待機とは……!早く手入れという名の更新をせねばですね!(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです!応援してます! (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔櫻 実桜 | 作成日時:2019年3月25日 17時