厄災二十 ページ25
「ごめん……俺……主のこと……」
『なんで謝るの？かみーは何もしてないよ』
「違うんだ！」
俯く加州にきょとりと首を傾げてその顔を見上
げる。
分からないとする虧月に加州は被せるように叫
ぶと、虧月に合わせるように……。
……否、顔を合わせないように、膝をついて両手
を地面に付ける。
懺悔でもするように俯くその様は異様とも言え
るが…………、過去の記憶が彼にそうさせるのだろ
う…。
「ちがう…違うんだ……俺……また同じことしようとしてた……俺がしっかりしないといけないのに……主のことだって傷つけようとしてた……俺が……俺が弱いから……ッそれに俺……！」
『かみー』
自身を攻めるように自責の言葉を連ねる。
拳を握り締めて肩を震わせる加州に虧月の静か
な声が遮り小さな手が片方の頬を優しく包ん
だ。
『かみー、僕ね、これからこの本丸の皆にどんなことをされても怒ったりしないよ』
「……ッ」
『だって、それくらいみんな痛いことされて痛い思いしてきたんだもん。だからね……』
優しく幼い声が加州を慰めるように言葉を紡ぐ。
幼いながらもどこか母親のような…陽だまりのよ
うな優しさを含んだそれは加州を優しく包み込
む……。
温かな陽だまりに思わず俯いていた顔を向けれ
ば、慈しむように虧月が柔らかく微笑んでいた…。
『僕に頼って良いんだよ。何たって僕は"神様"だもん！たとえ、頼られて、それが急に無くなったとしても怒らないよ……望むなら、ずっとかみーの味方でいる』
「ある…じ…ッ」
『僕は今のかみーが大好きだよ』
「ッ……」
加州の瞳が大きく揺れる。
虧月の言葉がじんわりと加州の中に響き渡り温
かく包みこんで受け止める……
それを痛いほど…愛しい程に伝わるからこそ……
加州は唇を噛み締めると、自身の頬に添えられ
た小さな手を縋るように、慈しむように両手で
そっと握った。
「ッ……ごめん……ごめん……ごめんね…主……(本当は、"主"とすらも呼んではいけないのに…)」
『うん』
……縋るべきではない……縋る資格などない……。
そうだと頭では理解していても、今はこの小さくてどこまでも大きな温かい神様の側にいたい……その温もりに触れていたい……
何かを我慢するように切なく寄せられた眉とそ
の様子に虧月は困ったように微笑むと、塞がっ
た両手の変わりにそっと加州に近寄る。
小さな背中で、小さな刀剣が目を伏せたまま一
筋の雫を溢していた……。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
