手は届かないはずだった【まふまふ】

episode16 side立花 ページ17

「Aちゃん」
「なんですか？」

帰ろうとしていた彼女を呼び止める
そんなつもり、なかったのに

不思議そうに首を傾げる彼女

＿あぁそういう仕草すらも、僕は...

「...仕事相手との恋は、ダメだよ」
「......え...？」

......あれ、今、僕なんて...
なんで、こんなこと言っちゃったんだ

頭で理解した時にはもう、止まらなくなっていた

「仕事、やりにくくなるでしょ。...また、今日みたいになるだろうこともあるだろうし」

違う、こんなこと言いたいんじゃなくて

そう焦るが、きっとこれが紛れもない僕の本心で


目の前の彼女が悲痛に顔を歪める
それに追い打ちをかけるかのように、僕の口から言葉が吐き出されていく

「それに＿＿＿きっとファンの方々が悲しむ」

言い切った時にはもう、無かったことにはできなくなっていた

彼女は、先程まであった幸せそうな顔ではなく、気持ちを押し殺した 悲痛な表情になっていて

あぁ、やっちゃったな

そんな呑気なことを考えていた

「...はい、分かりました。...まふくんに、もう恋はしません」

そう言い残して彼女は部屋から出ていった


＿＿＿＿分かっていた
Aちゃんはこういう子だって
自分の気持ちなんてすぐ殺しちゃう子だって、知ってたのに

それをやめて、まふくんと幸せになってもらおうと、自分から2人を引きあわせた、はずだった

なんになんで、自分で壊しちゃうんだ




「＿＿＿ごめん、Aちゃん...」

もう誰もいなくなった部屋に懺悔が響く


「やっぱり、僕、君のことが＿＿＿」



＿心の奥底でこの状況を喜んでいる自分がいることが、僕は酷く嫌だった



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
多分更新遅くなります

episode17 side you→←episode15 side you

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す