マリアに、懺悔。【1】 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:35,271 hit

21 ページ26

．

……彼の猛烈なアピールに半ば絆されるようにして付き合い初めて、かれこれ数ヶ月が経つ。

彼氏のシンイチローくんは、私よりも4つくらい歳上。

家族が反対しなかった訳では無いけど、それはきっと彼らがシンイチローくんのことを知らないから。
不良、というレッテルをびったりと貼り付けて、それ以上をちゃんと知ろうとしないから。

『あっシンイチローくんの弟くん』

『お、万次郎。今日は随分遅いじゃねーか』

『喧嘩買ってきた』

『……ほんとにお前は…』

『あ。絆創膏、いる？頬っぺにかすり傷があるよ』

『いる。マナカちんが貼って』

『馬鹿。そんな甘えんな、貼れんだろーが、んなもん1人で』

私をバイクの後ろに乗せて、バレエ教室まで送り届けるのはシンイチローくんの仕事になりつつある。忙しい両親に変わって週3日、駅前まで。帰りは私のお母さんの仕事。

今日も今日とて私の家の前まで愛機を走らせてきたシンイチローくん。玄関前、いつも下ろしている髪をぎゅっと纏め、いつものトートバッグを肩にかけて、彼のバイクの音を待つ。

それから、たわいもない話をそこそこに『よし行くか』なんて言っていた矢先、ひょこっとやってきたのはシンイチローくんの弟、マンジローくん。まだ小学生の。

『心の狭い男は嫌われるってさ』

『誰の入れ知恵だよ。余計なお世話だっての』

『いいねえ兄弟、私ひとりっ子だから』

『じゃーおれマナカちんの弟になる』

『させるか！』

『はい、マンジローくん、貼れたよ』

『ありがとーマナカちん』

『っと…まなか、そろそろ行くぞ』

『はーい』