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『あったよー!これこれ!』
藤宮まなかの話で若干落ち込んだ空気が、何かの缶片手に現れたエマちゃんとともにどこかへ吹き飛んだ。
『なにそれ?』
『んふふ、じゃーん!』
エマちゃんは俺たちはの真ん中にその缶を置き、パカリと開けると出てきたのは手紙の山。
『真兄の遺品整理してたら出てきたんだぁ』
『黒川イザナ…黒川イザナ…これも……って、もしかしてこの缶の中の手紙、全部黒川イザナからの……!?』
『うん…一部しか目を通してないけど、この手紙の量!そーとー仲良しでしょ!!』
『……仲良しっていうか、ちょっと怖ぇな』
俺たちは束ねてあった輪ゴムを外して、1枚1枚目を通していく。
『…………どぉ?なんか分かった?』
『今日何があったとか、そう言うのばっかりだ』
『マナカのこととかも書いてあるやつあったぞ』
『あ、それウチも読んだよ。一部しか読んでないからアレだけど…割とまなかちゃんの話もしてるよね』
『そんで…これが多分、1番最初の手紙だ』
『え?』
【拝啓 真一郎様】
【この前は訪ねてきてくれてありがとう。
家族がいて嬉しい。
前話していた"ヨメ"にも、いつか、会えるの楽しみにしてる。】
『真一郎くんから、会いに行ったんだ…』
『きっと、どこかでイザナの存在を知ったんだろうな』
『……なるほどね。おれ、ちょっと、風にあたってくるわ』
『え、マイキーくん、』
マイキーくんは持っていたハガキをぱ、と床に捨てて、ふらっと倉庫を後にした。そのすぐ後に、愛機のバブが遠ざかっていく音。急にどうしたんだろう?
ドラケンくんはマイキーくんがほっぽったハガキを手に取り、さっきと同じように俺らにも分かるよう声に出してそれを読み始めた。
【拝啓 真一郎様】
【最近ずっと、頭が痛い。苦しい。きっと、アイツのせいだ。
万次郎の話は、もうしないで。】
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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時