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『─────え?』
『実は、イザナは俺とも、万次郎とも、エマとも血は繋がってないんだ』
『どういうこと?』
…少し相談したいことがある。かしこまった雰囲気で彼からそんなことを言われたものだから、私は嫌にどきどきしながら彼のバイク屋へと向かった。いつもみたく、学校帰りの制服のまま。
『おじゃまします…』
『いらっしゃせ〜って、おー、マナカ。学校お疲れさん』
『話したいことって…?………別れ、話とか?』
『は!?』
『!?』
がたん、ごん、と騒がしい音を立てながら彼が私の方を振り返った。辺りになんだか重要そうな小さな部品が散らばる。
『おま、お、お、』
『あっなんか違うっぽい』
彼をなだめつつ、さらっとぶちまけた部品を一緒にかきあつめながら私は彼が口を開くのを待っていた。
そして、最初に戻る。
『どうして?シンイチローくんたちとはまだしも、エマちゃんとも?』
『あぁ。』
シンイチローくんと、マンジローくんは真さんと桜子さんから産まれた兄弟。
そんな真さんと、別の女性の間に生まれたエマちゃん。
シンイチローくんたちとエマちゃんは、腹違いの兄妹。
それは分かってたつもり。
『つまり、イザナくんのお母さんと、エマちゃんのお母さんは別の人ってこと?』
『母親だけじゃなくて、父親もな』
『でも、エマちゃんとエマちゃんのお母さんと一緒にいたんでしょ?施設に入る前まで』
『イザナの父親とフィリピンの女との間に産まれたのがイザナ。連れ子だったイザナを育てあげたのがエマの母親だ』
『イザナくんのお父さんは?どうしていないの?』
『もう死んじまってる。イザナが覚えてないくらい昔に』
『イザナくんは?』
『ん?』
『そのこと、知ってるの?』
『……もう、知ってる』
『もう?』
シンイチローくんはふと手を止めて、すこしだけ悲しそうにどこか遠くを見つめるような目をした。
『そっか』
私はそれ以上、何を言っていいのかわからなくて意味も無く、よく分からないその部品を指先でいじくり回した。
『でも、俺はイザナの兄貴だから』
『うん』
『エマはもちろん、万次郎とも上手くやれるって思ってた』
『思ってた?』
『血の繋がりがなくても、イザナはイザナだろ』
『そうだね』
『でも、イザナはそれじゃダメだったんだ』
雨がひどい日、イザナくんがシンイチローくんの所へ来て、言ったらしい。
『初めっから孤独なら、耐えられた。
どうして俺の前に現れたんだ。』
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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時