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『おじーちゃーん!マイキー起こしてきてよ!』

朝からエマのそんな声がきこえる。俺は先に食べ始めている2人におくれて合流して、ぼんやりしたまんま席についた。

『…ごはーん』
『マイキーおそーい!お味噌汁温め直さなきゃ、』

ぱたぱたとエマがスリッパをならす、音。

『じぃちゃん、おはよ』
『オウ!』
『はい、マイキーの分のご飯』
『…目玉焼きは裏っ返して潰せって言ってるじゃん』
『自分でやれば〜?…それより、そのタオルいい加減捨てなよ。子どもの頃からこねくり回して』
『やだ。おれのいのち』

しょーゆ取って。タオルケットをこねくり回しながらそう伝えると、エマは『も〜…』と言いながらも俺の目の前に醤油を移動させた。

『さんきゅー』

もくもくと箸を進めていると、ぴんぽーん。うちのインターホンの音だ。途端に目の前のエマがそわそわしだして、髪の毛をささっと手櫛で直した。ケンチン来たんだ。

『マイキー!着いたぞー!』
『俺の部屋で待っててー!』

今日はいつもと違って、タケミっちも一緒だった。
ふたりとも、俺の離れで待つように伝えて朝ご飯をかきこむ。

『あ、後でお茶持ってく』
『今日はタケミっちのぶんも』
『分かってるってば、早く食べちゃいな』

先に食べ終わったじいちゃんの皿と自分の皿を流しに持っていくと、エマはせかせかとお茶の準備をしだした。
そんな背中をぼんやりみながら、俺は味噌汁をすする。

エマもよく毎日あきねーな。

​───────

『ここがマイキーの部屋な』

『母屋と離れてるんですね!』

『ここ、元々は倉庫でさ。真一郎くんがバイクいじってたんだ』

『へえ…!』

『俺らもマナカと一緒に一日中横でそれ眺めててさ。…でも飽きなかったなぁ、』

『ま、なか?』

『…俺、今、マナカって言ったか?』

『めちゃくちゃ言ってました…』

…無意識のうちに彼女の名前を出したってことは、やっぱり昔からずっと関係があって、この倉庫にいるのが当たり前の存在だったってこと、だよな…?

案外こんな早く名前にたどり着くとは思ってなかった。

ドラケンくんはあー、とか、んー、とか苦い顔で呻きながら頭をぽりぽりかいた。そして思い切ったように口を開く。

『あー……マナカってのは真一郎くんのヨメの名前』

『へ、へえ!そのひと、い、いまはなにしてるんですか?』

『……わかんねえ。真一郎くんが死んでからは疎遠になっちまったんだよ』

『なるほど………』

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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時

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