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救出作戦 ページ9

敵を敦達に任せ、谷崎は細雪で身を隠しながら鏡花と一緒にビルの地下牢へと向かっていた。
階段を駆け下りている途中
「あああぁぁっぁ!!!」
下の方からAの悲痛な叫びが聞こえた。
その声を聞いて谷崎は頭が煮え切るような怒りを感じ奥歯を噛みしめた。
(間に合え、間に合え、間に合え)
何度もその言葉を唱え地下牢へ音を立てずに忍び込んだ。
そこには両手足を鎖で繋がれ足からダラダラと血を流すAの姿が有った。
その光景を見た瞬間谷崎の怒りは頂点に達していた。
怒りは殺意に変わり持っていた拳銃を立原の頭をめがけて銃口を向けた。
小さく息を吐き、感情的にそれでいて冷酷に引き金を弾いた。
谷崎の放った銃弾は見事立原の頭に命中し、立原は持っていたナイフを手放し床に倒れた。
そのナイフを拾い動かなくなった立原の胸に突き刺し谷崎はAの元へ駆け寄った。
そして鏡花の夜叉白雪で手足の鎖を切り、前のめりに倒れそうになったAを谷崎は受け止めた。
Aは少し驚いたような表情をした後安心したように微笑み。
「谷崎、君」
と姿の見えないはずの谷崎の名を呼んだ。
全身に数多の傷を作り力なく谷崎に身を委ねるようにだらりと垂れ下がった腕や弱々しい声に
谷崎は安堵と後悔の念に苛まれた。
(僕が選択を間違って居なければ彼女がこんな目に合わなくても済んだのに)
奥歯を噛みしめる力をさらに強め、谷崎は自分の不甲斐無さに涙をこぼした。
「Aちゃん…ごめん。ごめん」
口から出た声は谷崎本人が思っていたよりも震えていた。
(何度謝っても足りない。僕の過ちは消えることは無いんだ……)
そう思う谷崎とは対照的にAはまるでなんて事の無かったかのように谷崎を赦す。
そして谷崎を安心させるかのように力なく笑い。
「す、きだ、よ…たに、き、くん」
その言葉を最後に力尽きた様に瞼を閉ざした。
「Aちゃん!!!!Aちゃん!!!!!!!!」
壊れた人形のように動かなくなったAに谷崎の言葉は届くことなくただ地下に響き渡った。

太陽のように→←暖かな雪



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クコ(プロフ) - ルイさん» コメント返信遅くなってしまいすみません。そう言ったことは読者様のご想像にお任せします。 (2018年10月9日 20時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 立原さんは死んだんですか? (2018年9月14日 18時) (レス) id: 63736b3e41 (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 桜木 茜さん» コメントありがとうございます!!そんな風に言ってくださると物書き冥利に尽きます! (2018年4月20日 3時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
桜木 茜(プロフ) - 今日最後まで読ませていただきました。涙がドバドバ止まりません、すごく良かったでふ! (2018年4月18日 20時) (レス) id: 276600753d (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 雪のさん» 最後まで読んでいただいて、さらにコメントまで下さってありがとうございます!!嬉しい限りです!これからも頑張っていきます! (2018年2月18日 23時) (レス) id: 336d684e71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クコ | 作成日時:2018年1月11日 3時

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