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僕を見てる横山さんにも泣いてることがわかって、余計に心配した声で僕に呼びかける。
「マルちゃん?なんかあった?それとも体調悪い?」
「…っすみませ、大丈夫、ですっ」
泣いてるから、ちゃんと話せんくて、ちぐはぐな言葉になる。
しかも鼻水混じり。最悪やもう……
「でも、泣いてるやん、マルちゃん」
って言って、僕を後ろから抱きしめた。
ふわっと爽やかな匂いが鼻に通る。
その香りは僕を安心させていった。
「泣いてる時は、人一倍寂しくなるから、誰かとおったらそれが和らぐんやで?オカンが言ってたわ」
そう言って、頭を優しく撫でてくれる。
いつか、お母さんがそんなこと言うて、よく頭撫でてくれたことを思い出す。
それに似て、横山さんの手はあったかくて、優しかった。
「大丈夫、ヒナやどっくんには内緒にしとくから、今は存分に泣いてええで?でも、あんまり目擦らんようにな。めっちゃ腫れてまうから」
「ぐすっ……ありがとうございます……」
僕はそのまま横山さんに抱きしめられた状態で静かに泣いた。
人前でなんか絶対に泣きたくないって思ってたのに、なんでやろ。
なんでこんなにも感情を表に出せるんやろう。
あんな引っ込み思案で、自分の思いもマトモに言えない、僕らしくない。
でも、わかったこともある。
優しさに触れて自覚した。
僕、横山さんのこと、好きになってもた。
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作者名:これさわ | 作成日時:2019年4月22日 23時