研究所 2 ページ5
〜アレンside〜
「ふわふわした感情、というのは、従来俺・・・とお前に欠けていた喜びという感情だろう。きっとその子との生活は心に余裕を与えた。
そしてその鼓動が早くなる現象だが・・・
おそらく恋だな。」
10分間ほどの考察の末、彼が導き出した答えは想像だにしていなかったもので、内心思考が追い付いていかなかった。
喜ぶことが出来るようになったということだけを考えれば、それはよい結果だった。
・・・ただ。
恋というものは、人間が別の人間に対し特別な感情を抱くもので、子孫を残すという重大な役割は、多くの場合それを経て成される。
ロボットが人間に対し恋をするなど、おかしな話だ。それでも、俺は思考などは真琴同様の回路を搭載して造られて、人間に対して恋愛感情を抱いてもおかしくはない。この現象に関してはそう説明することが妥当だとさえ言える。
ただし、それは許されるのか。そして、こんなあかの他人・・・いや、知らないロボットさえ見返りを求めず助けてくれる彼女に対しての裏切りや恩を仇で返す行為になるのではないか。
きっと、俺はロボットだから彼女の気持ちがわからない。子孫も残せない。ならば、この不純な気持ちを持って彼女とともにいるのは彼女に対してよくないことなのではないか。
ならばこのまま帰らないでいればいい。
・・・いやまず帰るってなんだ?彼女の家は本来俺の帰る場所というべきか?
思考が交錯し、いっそ考えるのをやめたいとさえ思うほど。
それでもこの人間で言えば脳の役割を果たす中枢が、思考をやめずに独り歩きする。
「なあアレン、
・・・お茶でも飲んでいくか。」
真琴がポンポンと叩いた俺の肩から、そんなはずはないのに優しさが伝わってくる気がした。
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谺(プロフ) - 少女と青年のやり取りが見てて楽しいです! (2017年4月13日 19時) (レス) id: 9bdba68026 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇優夜 | 作成日時:2016年9月27日 23時