名前を呼ばせて ページ2
〜アレンside〜
「・・・あの、それで・・・なんだけどね・・・。
さっきからおかしい理由なんだけど・・・」
リサが遠慮がちな顔をするなんて、深刻な話なんだろうか。
色々なマイナスな考えが浮かんできて、少し不安になる。
「・・・名前・・・
・・・呼びたくて・・・。」
??
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言っているのと、出てきた内容のギャップに状況が理解できなくなる。
名前が呼びたければ呼べばいい。あれ?が多かったのは俺の名前のせいか。
いや、でもなぜ・・・
「あのね、実は、ちょっとまえから、・・・一回も名前呼んだことないなって、思ってたの。
でも、なんか意識しちゃったら・・・は、恥ずかしくて・・・」
なぜ名前を呼ぶことが恥ずかしいのかはわからないが、その言葉や、その赤らめた顔に、自分の鼓動が少し早くなるのを感じる。
・・・なぜ?
どこかで異状が?あまり帰ってくるなと言われているが、どこかで真琴のところに行くか。
そして、名前を呼んでほしい、という欲求が、なぜか急激に込み上げてきた。
たとえば、体を休めるために睡眠を欲したり、エネルギーを補給するために食事を欲するのと同様に。
動機がよくわからない。これはなぜ生じた欲求なのだろう。
「名前、・・・なぜだかわからないが、呼んでほしい。・・・と思ったから、呼んでくれるか?」
言葉につまるリサに、後押ししてみる。
「ア・・・アレン・・・・・・」
時間をかけてリサが紡ぎだしたその3文字に、今度は知らない感覚を覚えた。
へんにふわふわする、よくわからない感覚。そして、よくわからないうちに自然と口からでた、
「・・・ありがとう。」
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谺(プロフ) - 少女と青年のやり取りが見てて楽しいです! (2017年4月13日 19時) (レス) id: 9bdba68026 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇優夜 | 作成日時:2016年9月27日 23時