12話 ページ12
目覚ましの音
うっすらと目を開けて空を仰ぐ。
寒くてもぞもぞと布団をかき集めるも、ぎゅっと目を瞑り布団から離れる。
「・・・さむい・・・」
裸足で冷たい床に触れると、身震いするほどの寒気が走る。
白い息で温めた手で手すりをつかみながら、階段を降りる。
降りていくと、リビングには灯りがついている。
「やばっ!!・・・昨日消し忘れて・・・ん?」
ふわっと少し懐かしいような香りがする。
「おはよう」
ドアを開けると、男の人の声。
「え?えっ??えー!!??」
思わず叫んでしまう。だって、やばくない?不法侵入!?
「大丈夫?」
叫び声に驚いたような顔をして入ってきたのは、きれいな顔をした男の人・・・
なるほど・・・
「大丈夫。大分思い出した。・・・ごめんなさい。」
昨日の今日で記憶が追い付けなかったらしい。
「ん。朝食と弁当はできてる。あと、買い出しにいきたいから、できればお金を・・・」
「え!うそ!お弁当作ってくれたの!?朝食も!?あ、お米炊いてある!!すごい!!
というか昨日まで昼御飯や夜ご飯の時間を忘れていたのに、何でいきなり?」
「ああ・・・昨日、カレンダーに弁当、と書いてあったことと食事は三食つくらないと家事をやっているとは言えないと学んだから。」
カレンダーには、今日こそお弁当、の文字。
母が海外にいってからというものずっとコンビニでご飯を買っていて、1度も実行できていなかったこと。
お米も独り暮らしをしてからは面倒くさくて炊かなかった。
「なんか、どこからお礼をいっていいかわからないけど、ほんとにありがとう!
あと、お買い物行くとき、これつけてって!!絶対だよ!あとこれ地図!駅は遠くないけど、歩いていける距離にスーパーとかないから、二駅くらいいったとこで買い物してね!
とりあえず一万円あれば足りる?」
「ああ。そんなに要らないが・・・」
明らかに注目を集める顔なのでアレンにマスクと100均のPC眼鏡を渡し、久しぶりに食べる炊きたてのご飯を食べ、長らく食べていない味噌汁をすすり、ひといきつく。
「おいしいっ!しかも洗い物をしないで出られるなんて!」
家事を一日前に会った男に頼りきるなんて面目ない・・・と思いつつも、幸せに浸ってしまう。
ご飯をゆっくり食べるともうバスの時間で、念のため金庫に貴重品を入れ、鍵をもって家を出た。
「いってきます」
久しぶりに言う言葉に、小さな声でいってらっしゃいが返ってきた。
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優夜さんのファン1号 - そして私が知らないうちに続々と小説の投稿が増えてる〜ひやー嬉しい悲鳴です (2016年9月24日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - 15話まで読みました。リサの学校が始まって宿題が難しそうにしているところでアレンが教えてる!頭もいいですね。 (2016年9月24日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - 8話から10話まで読ませていただきました。面白いです。アレン料理作れるんですね。すごいです。 (2016年9月15日 15時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - こんな、小説に出会えて幸せものです。次回作も楽しみ過ぎるです (2016年9月12日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
皇優夜(プロフ) - 優夜さんのファン1号さん» 閲覧ありがとうございます!まだまだ拙い文章ですが、たくさん嬉しい感想をいただけてうれしいです♪今後も随時更新していきますので、閲覧よろしくお願いします! (2016年9月12日 21時) (レス) id: cca9fc0d62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇優夜 | 作成日時:2016年9月10日 23時