4話 ページ4
「ところで、なんであんなところで倒れてたの?」
だって普通に考えておかしいよね?こんな田舎の人の家の庭に倒れてるとか!!
「・・・」
これは、聞いてはいけないことなのかな?すこしの間沈黙が流れた。
「あ、答えたくないなら答えなくてもいいんだけど、、、」
そう付け足してもなお、黙る彼。セピア色の髪から垂れる滴が、床の上に落ちる。
「いや、・・・迷惑かけてるしな。答える。
朝日が出てくる方向に、景観にそぐわない大きな建物があるだろ。あそこの研究室から追い出されて、その辺をずっと歩いてた。
何日か歩いたら、エネルギーがたりないうえに、あまりの寒さで、動けなくなってしまったんだ。それで・・・こんなことに・・・」
変な言い回しはおいとくとして、追い出されて行く宛がありませんってことかな・・・?
「仕事とかは探しているの?」
「仕事を探すには身分証とか印鑑が必要だから・・・全部向こうにおいてきてしまったんだ。」
「それ、取りに行ったらいいんじゃない?」
「もう、戻れないんだ・・・」
彼はばつが悪そうにもたもたと話す。これ以上問い詰めるのも良くないのかな?
でも仕事も探せないってことはこのままにしていたらこの人死んじゃうんじゃ・・・
あ、そうだ!
「じゃあ、私があなたを雇う!お金は出せないけど、生活必需品とか、服とか、家とか、ご飯とか、提供するから、私と一緒に暮らしてください!」
「・・・いや、嬉しいけど、それでは君に悪い。」
「お金はあるし、私、3か月前から独り暮らしをしてて、寂しかったの。私が大学生になるまでは両親は向こうでの仕事が忙しくて少なくとも帰ってこない。
・・・だから、あなたと今一緒にご飯食べたり、ゴミ出ししたあとに玄関を開けたら人がいたりして、本当に嬉しかったの!
全然悪くない。むしろ助けてよ・・・ぐすっ・・・」
気づかないうちに、泣いてしまっていた。どうしてこんなに涙もろくなったんだろう・・・
「・・・わかった。その代わり、家事とかはやらせて欲しい。それの見返りとして、俺を養って欲しい。」
彼は熟考の末、そう答えてくれた。
泣き落とすなんて、卑怯だったかな・・・と思いつつも、嬉しくて笑顔になる。
「私は本城リサ。リサでいいよ。あなたは?」
「阿伊染アレン。・・・よろしく。」
考えなしに色々言ってしまったけれど、後悔ならあとですればいいかな。
・・・今はしあわせにひたっていたい。
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優夜さんのファン1号 - そして私が知らないうちに続々と小説の投稿が増えてる〜ひやー嬉しい悲鳴です (2016年9月24日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - 15話まで読みました。リサの学校が始まって宿題が難しそうにしているところでアレンが教えてる!頭もいいですね。 (2016年9月24日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - 8話から10話まで読ませていただきました。面白いです。アレン料理作れるんですね。すごいです。 (2016年9月15日 15時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
優夜さんのファン1号 - こんな、小説に出会えて幸せものです。次回作も楽しみ過ぎるです (2016年9月12日 21時) (レス) id: 4d4539a309 (このIDを非表示/違反報告)
皇優夜(プロフ) - 優夜さんのファン1号さん» 閲覧ありがとうございます!まだまだ拙い文章ですが、たくさん嬉しい感想をいただけてうれしいです♪今後も随時更新していきますので、閲覧よろしくお願いします! (2016年9月12日 21時) (レス) id: cca9fc0d62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇優夜 | 作成日時:2016年9月10日 23時