白鳥沢のレギュラーに選ばれたのは苦労人イケメンでした (ページ2)

今日:29 hit、昨日:42 hit、合計:63,927 hit

１ページ2

｢新入生のみなさんは先輩方の姿勢を学び＿＿＿＿＿＿＿｣

4月9日

眠くなるような気温で桜の花がざわざわと散っていくなか、宮城県の私立白鳥沢学園高等部の体育館では入学式が厳かに行われている。

そんな中、前から4番目、1年4組の列の中で頭1つ飛び抜けている男、白金Aはどデカい欠伸を噛み殺していた。

(あー、ねっむ。昨日3時まで起きてたのが馬鹿だったー)

昨日夜遅くまで起きていたおかげで一瞬でも気を抜くと即座に意識を手放してしまいそうになるが、なんとか気力で耐える。

(それにしても_____)

さすがは宮城県で上位を争うマンモス校と言うべきか、新入生の数がえぐい。

(これ軽く600人はいるんじゃ)

そんなことを思いながら壁掛けの大きな時計をボーッと眺める。

｢ふぁ…｣

耐えられずに出てしまう欠伸を手で軽く抑えながらうつらうつらとしかけた時＿＿＿＿＿＿＿

ｶﾞﾀﾝｯｯｯ

『ｯ！？』

隣でウトウトしてたであろうおかっぱ頭の男子生徒がいきなりビクッとして椅子を鳴らした。

シーンとしていた体育館ではまぁまぁ響いたわけで

周りの目線がじろりと集中する。

｢あ…す、すみません！！｣

おかっぱ頭は立ち上がり、ブォンっと音が鳴るくらいのスピードで頭を下げた。

周りではクスクスと笑う声が聞こえて、おかっぱ頭の耳がじんわりと赤くなっていくのが分かった。

さすがに視線を感じたのか、ぱっとこっちを見たおかっぱ頭と視線が合う。

｢…なんだよ｣

『あー…

なんか、ご愁傷さま』