団長は吸血鬼〜第三夜〜

負けた ページ5

『ここに狼男がいるって言いたいんならそりゃ……ウォール・ローゼが破壊されたってことだぞ？』

「トーマ！早馬に乗って報告しろ！おそらく104期調査兵団の中に狼人間は居なかった……南より……悪魔多数襲来！！ウォール・ローゼは……突破された！！」

普段の彼からは想像できない慌て振り、まさかのウォール・ローゼ突破の知らせ、ナナバとトーマは驚いたがゆっくりリアクションをしている場合では無い

すぐに104期生の居る宿の窓へ向かって塔から飛び降りた

「本当です！確かに足音が！」

サシャのすぐ近くの窓を開け全員の在籍を確認し悪魔が500m南方より多数接近していることやそれがコッチへ向かって来ている事を告げ、付近の住民の避難の指示を言い渡した

104期生は唐突の報せで困惑したが、ナナバの一言で急いで馬小屋へ急いだ

そして、104期生が動いた事を確認したナナバは屋根に上り、ミケの居る方へ走った

「ミケ、悪魔の位置は？」

「前方だ鼻でわかる限りではな……

あの一帯に9体いる」

ミケの視線の先には狼男、コウモリの羽を持った二足歩行の生き物世に言う『クリーチャー』、その他モロモロが居た


「再び……結界は破壊されたとそう……捉えるべきなのかな……

トロスト区やクロバル区がやられたのだとしたら報告があるはず……

扉部分以外の結界を壊されたのだとしたら結界の破壊の規模は計りしれない……

そもそも結界に空けられた穴が扉部分だとしても都合のいいサイズの岩がその付近に転がっていない限り……エレンがいても穴を塞ぐことはできない

つまり……考えうる限りで最悪の事態が今……起きてるってことだ……


事実上……


ウォール・ローゼは突破されてしまった……」

ナナバは絶望でその場に座り込んでしまった

「私たちは……

超大型狼男の正体も鎧の狼男の正体も……

もしくはそれ以外の敵勢力を見つけ出すことにも失敗し……この日を迎えた



私達……人類は


負けた……」

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