シヴァ神３６ ページ38
幼い頃のことだ。僕は死にかけたことがある。
兄さんが必死に看病してくれたけど全然ダメで、もう、死ぬんだって思った。
だけど、絶対に死にたくなかった。このままじゃ死んでも死にきれないと思ったんだ。
意地でも死んでやるもんか。もし殺しやがったらあの世で報復してやる。そう思いながら命を繋ぎ続けた。
兄さんと僕は、祈りという名の脅しをかけつつ奇跡を待ち続ける。生という、奇跡を。
そして、その瞬間。
身体中が熱くたぎる感覚。血が沸騰するような、恐ろしい熱が僕を焼いた。
「あ、あああああああっ！兄さん、熱い！熱いよぉ！！」
「A！大丈夫、大丈夫だから。ゆっくり息して、一人じゃないからね」
目の前が赤くなって黒くなって、目まぐるしく変わる。これから先、あれ以上の苦痛を味わうことなんてないんじゃないかと思うほどの痛みだ。
炎が噴き上がっていると錯覚するくらいの熱と、肉が焼けたような焦げ臭さは今でも記憶に強く残っている。
無理。死ぬ。終わった。
あれだけ何としてでも生きてやるって思ってたのに、不思議だよね。人間、想像を絶する苦痛を味わうとコロッと意見を変えちゃうんだから。
泣き叫んで全身で暴れて、驚いてる兄さんに助けろ助けろって喚いて、そうまでしても痛みは消えない。熱いのが痛くなるのはもう恐怖体験だよ。金輪際したくない。
本当、生きててよかった。
……って思えるのも、シヴァ神のおかげなんだけど。
あのとき、僕たちには確かに聞こえたんだ。カミサマの声が。冷たくて、でも楽しそうで。カミサマのくせに酷く人間臭いと感じたのを覚えている。
「…………A？もう痛くないの？」
「う、ん。何だろ、平気。変な感じ……声がね、聞こえたんだ」
「もしかして、ヒトガタとか生き様とか言ってた？」
「兄さんも聞こえたんだね。＿＿でも、そうか。僕にも個性が宿ったのか。
あははっ！慣れないなぁ、使い方も何もかも分かるのに、僕自身は使ったことないんだもの」
むくりと起き上がった僕は、心底愉快でたまらなかった。死にたくないと願い、死んでもいいと思い、そうしたらいつの間にか生かされている。
この世には奇妙な話もあるものだ。まさか、こんな底辺を這いずってる僕なんかがカミサマに目を付けられるなんてさ。
「個性がシヴァ神とは、なんて贅沢なんだろう！！」
僕がもう僕ではなく、シヴァ神のヒトガタなのだとは……まだ知らない。
知らぬが仏。
見守るは神。
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グレイス - なんものさん» ありがとうございます！そう言ってくださると本当に嬉しいです！これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします！ (2018年4月14日 21時) (
レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
なんもの - しょきからよんでたけどここまでのびてまじ嬉しい (2018年4月12日 21時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
グレイス - ルッカさん» ご指摘ありがとうございます。そうでした！すいません、訂正しますね！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
ルッカ - 11話で夢主くんのセリフに『ほんと、問題児が多いこっで』ってあるんですが、多いことで ではないでしょうか？間違ってたらゴメンナサイ。 (2018年1月18日 18時) (レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
グレイス - プロ(笑)さん» ご指摘ありがとうございます。言われてみれば確かに変でした(笑)また何かあれば指摘お願いします！ (2018年1月16日 18時) (レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年9月30日 16時
