シヴァ神３５→シヴァ神 ページ37
……さて、ここで少し話をしよう。少し変わった、人間の話を。
私ことシヴァ神は、主に破壊と創造を司る神である。神々の中でも高位であるとされ、下界に住まう人間たちとは一線どころか十線ほども違う存在だ。
そんな私だが、とある日にふと下界を眺めていた時に面白いものを見た。それは、二人の兄弟の姿。もう分かっているだろうが、紫亜Aとその兄だ。
どうやら弟の方が死にかけているらしく、兄が必死に看病をしている。いやはや、アレではもう助かるまい。あの年で、可哀想になぁ。
だが人の一生など神にとっては一瞬よ。それも定めと受け入れるのが卑小な人間の務めだ。
ふふ、と口端を歪め、兄弟の哀れな運命を見守る。そしてもうすぐかと思った、その時だった。私のもとに願いが届いたのは。
【死にたくない】
【死なせたくない】
ありふれた、よくある願い。この程度であればいつものことと聞き流していたのだが、私はこの後の言葉に＿＿＿ほんの少し、悪戯心が擽られた。
【生きるためなら異形になろうと、心がなくなろうと構わない】
【弟が生きていてくれるなら自分の命も姿もいらない】
【こんなところで死ぬくらいなら神でも悪魔でも喰ってやる】
【こいつを死なせてみろ、地獄の果てまで殺しに行くぞ】
おぞましいほどに強烈な生への執着、兄弟愛。
死にたくない、死なせたくない。
その願いを聞き届けるには十分すぎるほどの感情の熱波に、私は興味を持った。これほどまでに生と兄弟に執着するその理由を知りたくなったのだ。
「その願い、叶えてやる。私のヒトガタとなれ。さすれば貴様は生き長らえよう。特別に、私の魂の一部を貸してやるからな……、活かせよ？」
個性という超能力が必須の世界で、その能力を持たぬのも死の原因となり得る。そう考えた私は、私の力を＿＿＿シヴァ神の力を、個性として与えてやったのだ。
精々生きろ。私が願いを聞いてやったのだから。
「さあ、貴様らの生き様を見せてみろ」
そこまでして生きたいのなら、私が生かす。その代わり、私を満足させられないのなら、すぐにその器から魂を引き抜いてやる。
下界の偵察用のモノとしても有用だしな……しばらくはこのままにしてやるか。
「くくくっ、人間も捨てたものではないな」
後に私のこの行動が下界に大きな影響を及ぼすとは……まだ知らなかった、かもしれない。
では今日はこの辺で、話を終わるとしよう。
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グレイス - なんものさん» ありがとうございます！そう言ってくださると本当に嬉しいです！これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします！ (2018年4月14日 21時) (
レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
なんもの - しょきからよんでたけどここまでのびてまじ嬉しい (2018年4月12日 21時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
グレイス - ルッカさん» ご指摘ありがとうございます。そうでした！すいません、訂正しますね！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
ルッカ - 11話で夢主くんのセリフに『ほんと、問題児が多いこっで』ってあるんですが、多いことで ではないでしょうか？間違ってたらゴメンナサイ。 (2018年1月18日 18時) (レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
グレイス - プロ(笑)さん» ご指摘ありがとうございます。言われてみれば確かに変でした(笑)また何かあれば指摘お願いします！ (2018年1月16日 18時) (レス) id: 3227562616 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年9月30日 16時
