その戦いに 土方side ページ7
「……目、瞑っててもこの様よ」
…ゆっくりゆっくりと、その目を開けると、笑みを浮かべる。辺りを凍らせるかのような、冷たく、なんの感情も抱いていないような、無機質な笑み。無精髭の男は、そんなAの表情と地面に転がった仲間だったものを交互に見やり、更に青ざめていく。
男「バ、バカな…!!」
……ガクガクと震えながらに、男は言う。掠れていて、耳を澄ませていないと聞き取れないくらいの声量だった。足も心なしか震えているように見える。バカな。その言葉は、俺も、きっと俺達も同意できる。たった一人で、自分を囲んだ奴等を全員斬り伏せられるなんて、普通の人間技ではない。総悟でさえ目を見開いているのだから、相当なのだろう。
Aの周りにはざっと見て10人近くはいた。360度、全方向に敵が居たのに、アイツはそれを全員、それも一気に片付けてしまった。流石は伝説の攘夷志士といった所だ。攘夷四天王と肩を並べていただけあって、その実力も桁違いだ。
……万事屋の野郎とも、きっと劣らないだろう。
「ほら、まだまだイケるよー?私は」
男「ッッ、調子に乗るなアアア!!!」
懲りもせず、連中はまたAへと銀色を手に握りしめ、駆け出した。目をこれでもかと見開いて、充血させている無精髭の男はもうヤケクソといった様子だった。
Aは肩をぐるりと回すとその場から駆け出した。相手と距離を一気に縮め、次々と躊躇なく斬っていく。
男「うおおおお!!!」
「よっと、」
もう負けることを理解しているのに、無謀にも立ち向かっていく男達は、一瞬でAの剣によって倒れていく。怯んで逃げ出したって無理もないだろうに。なんせ、時代に名を残した伝説を目の前にしているのだから。
土「……あれが、A…」
……紅の舞姫の、本当の戦いなのか。
俺と剣術で争った時とはまた違う、あれとは比べ物にならないほどの動きだ。近藤さんも総悟も、息を呑んで戦いに見いっている。隊士達も呼吸を忘れてしまうほど。
「はああああっ!!!」
……真っ赤な血を浴び、剣を振るう。銀色は躍るように、Aの手と繋がったかのような滑らかな動きを見せている。
沖「……ありゃもう、化け物級ですねィ」
……総悟が渇いた笑みを浮かべる。
真選組随一の剣の使い手であるコイツが、ここまで見いる戦いを見せている。
「まだまだアアア!!!」
……身体中に血を浴び、舞うように剣を操るA。
……その戦いに、俺達はついつい、見惚れてしまうほどだった。
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樹里(茉莉華) - マジでこれ泣けましたっ!! 沖田隊長もいいですけど、士方さんのまっすぐなものもいいですね! ピピコさんの作品はどれも大好きです!応援してます!! (2018年9月10日 16時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 天音さん» 語彙力がなくなるほどに、ですか…!嬉しいです^^私自身も楽しんで書いてます!!次の巻では大きくお話が動き出しますので、そちらでも楽しんで頂けたら幸いです!!天音さんの癒しになれますように!! (2017年9月21日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - なんかもう面白すぎてなんて表現したら良いか分からなくなって来ましたwww (2017年9月21日 17時) (レス) id: c47ef2ab15 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» あの人達が出て参りましたねぇ…!!どうなることやら、フッフッフッ……。更新バリバリ頑張りますっ!! (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ぬおおっ! き、鬼兵隊キタ…ッ! 高杉との絡みがあることを祈りつつ更新楽しみにさせていただきます! (2017年9月19日 20時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年8月25日 14時