恒例 ページ41
ドタドタトタ……、と。そんな音が何処かからか聞こえてくる。それはだんだんと、私達四人が居るこの部屋に近づいてきており、近藤さんは「なんだ?」と眉を寄せて首をかしげている。沖田くんはやっぱり特に興味がなさそうな表情を浮かべ、土方さんは襖の辺りを見つめている。私も同じように、襖を見る。恐らく、もうすぐこの襖は開かれることになる。
未来視なんて特殊能力を持っている訳ではないけれど、そんな能力がもしあったと仮定して、それでもそんなものを使わなくとも容易くそれは予想出来た。
「……何かありましたね、この音」
土「あぁ。……で、多分この襖を開けるのは」
スパアアアン!!
山「局長副長大変ですウウウウウ!!!」
……ほらやっぱり、ザキ。
廊下を駆け抜ける音が聞こえたときは、大体はザキが走っていると思っていい。今まで何回もそういう場面を目にしてきた私は知っている。そして、ザキが屯所の廊下を全速力で疾走する時は、「大変です」が第一声だ。最早恒例と化している。
……何かあったのはもう明白だった。
近「何かあったのか山崎」
山「は、はい…!大変なんです!!」
沖「それは分かったさっきも聞いた。さっさと用件言え」
ゼェ、ハァ、と、肩を上下させて呼吸をして膝に両手を当てているザキに私達全員の視線が集まっていた。息を整えるのに少々の時間を有するようで、「それが……あのですね…」と途切れ途切れに言おうとしている。酸欠でぶっ倒れてしまいそうな勢いだ。
「……落ち着きなよザキ、何があったのよ?」
山「……はい、そ、れが…!!」
……大きく息を吸い込んで、ザキは用件を口にする。
……嫌な予感は、ずっと心の何処かに存在していた。モヤモヤと、確かにそこにあるけれど、どうしてもその『何か』を掴むことが出来ないような、曖昧なものだった。
……けれど、その正体が、
山「……ッ、たった今、鬼兵隊の人間と見られる奴の目撃情報が入りました!!」
土「鬼兵隊だと…!?」
……パサッ
「……あ」
土「……A、」
どうした、と。土方さんは私と、私の手から溢れ落ちたトッポの袋を交互に見て、そう言った。スルリと、手から力が抜けて、落としてしまった。中にまだ残っていたトッポが、無惨にも散乱する。
……一瞬、ザキから放たれた言葉の意味を、理解出来なかった。
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樹里(茉莉華) - マジでこれ泣けましたっ!! 沖田隊長もいいですけど、士方さんのまっすぐなものもいいですね! ピピコさんの作品はどれも大好きです!応援してます!! (2018年9月10日 16時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 天音さん» 語彙力がなくなるほどに、ですか…!嬉しいです^^私自身も楽しんで書いてます!!次の巻では大きくお話が動き出しますので、そちらでも楽しんで頂けたら幸いです!!天音さんの癒しになれますように!! (2017年9月21日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - なんかもう面白すぎてなんて表現したら良いか分からなくなって来ましたwww (2017年9月21日 17時) (レス) id: c47ef2ab15 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» あの人達が出て参りましたねぇ…!!どうなることやら、フッフッフッ……。更新バリバリ頑張りますっ!! (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ぬおおっ! き、鬼兵隊キタ…ッ! 高杉との絡みがあることを祈りつつ更新楽しみにさせていただきます! (2017年9月19日 20時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年8月25日 14時