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意味 土方side ページ15

…いつもいつも、真っ直ぐに、揺るぎない瞳をして俺を見据えて、Aはぶつかってきた。何度も何度も衝突して、言葉を投げかけ合って、少しずつでも互いのことを分かり合おうとしていた。それでも、まだ足りない。それならまだ、とことんぶつかればいいだけの話だろう。


…これから先も、同じように、ぶつかっていけばいいだろう。だから、


土「…聞かせちゃくれねェか、お前のこと」

「…、」


…相手のことを分かりたいなら、理解したいなら、そうする他ねぇ。一番分かりやすくて手っ取り早いだろう。俺達にはきっと、そういうやり方が合っているのだ。しつこいくらいにぶつかって、睨み合って、最後にはなんやかんやで元に戻っているような。そのたびに互いのことを何かしら知れていたなら、それでいい。

…だから、俺達はまだ、色々な話をする必要があるのだと思う。何の意味もないようなバカみたいな話でも、分かり合おうとすることに意味は生まれるのだと、そう思える。


「…何、言ってるんですかアンタ…」


話すことなんて何もないです、と、そう早口に言いながらAは両手を握り締めた。もし仮に、その手にガラスを持っていたなら、儚い音をたてて割れて、その手から赤色が流れ出てしまいそうなほど、強く強く、それでも微かに震える手は、酷く弱々しく見えた。

…攘夷志士でも『紅の舞姫』でもない、ただの一人の女の手に見えた。


沖「……いいやAさん、話すことならありやさァ」


…と。今までずっと黙ってこの場を見守っていたソイツ、総悟が不意にそう口にした。その面はいつもと同じように、口角が上がっていた。いつもと同じ、Aをいたずらっぽく見据える目をして、ソイツは言う。


沖「今夜、土方さんの寝込みに鼻の穴にタバスコぶち込む作戦、まだ途中でしょう?」

土「いやお前らそんな話してたの!?」


「……あぁ、それは大変だ」

土「お前まで何言ってんの!?」


だからAさん、と、総悟は一歩前に出て、俺と近藤さんに並んだ。不敵に笑い続けながら、何処か、ほんの少しの、ソイツには似合わない優しさのようなものを内包した声で、ソイツは続ける。


沖「…アンタにゃまだ、こっちにいてほしいんですけどねィ」

「……な、んで…」


……ギュウッ、と、握り締めた両手に更に力が入る。ガラスなんてもんが無くても爪が食い込んで血が出てしまいそうなほどに。それからは、Aの葛藤が見てとれるような気がした。色々な感情が複雑に混ざり合ったような。

こっちの台詞 土方side→←ぶつかる 土方side



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
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樹里(茉莉華) - マジでこれ泣けましたっ!! 沖田隊長もいいですけど、士方さんのまっすぐなものもいいですね! ピピコさんの作品はどれも大好きです!応援してます!! (2018年9月10日 16時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 天音さん» 語彙力がなくなるほどに、ですか…!嬉しいです^^私自身も楽しんで書いてます!!次の巻では大きくお話が動き出しますので、そちらでも楽しんで頂けたら幸いです!!天音さんの癒しになれますように!! (2017年9月21日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - なんかもう面白すぎてなんて表現したら良いか分からなくなって来ましたwww (2017年9月21日 17時) (レス) id: c47ef2ab15 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» あの人達が出て参りましたねぇ…!!どうなることやら、フッフッフッ……。更新バリバリ頑張りますっ!! (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ぬおおっ! き、鬼兵隊キタ…ッ! 高杉との絡みがあることを祈りつつ更新楽しみにさせていただきます! (2017年9月19日 20時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2017年8月25日 14時

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