奇跡43 -銀時side- ページ4
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「おいおい、こりゃぁ……」
「…ひどいな」
急いで廃寺に戻ると、そこはもう血の海だった。
ここに残ったのは援護の兵と、負傷して戦場に出られなかった奴と、そしてAのみ。
「――し、晋助さん!それに皆さんもご無事で!!」
嫌な予感が頭から離れず青ざめている俺の耳に大きな声が響いた。
それは鬼兵隊の1人で、援護を任されていた奴だった。そいつは、斬られたんであろう腕を押さえながらフラフラと俺らの元へと足を動かす。
それに気づき、慌てて駆け寄ると「…そこの血で濡れてるのは殆どが敵です。何とか動ける兵士だけで食い止めてました。それでも少し犠牲者出てしまいましたが」…と。
こいつの話によると、一時はやばいと言う状況になったものの俺たちが戻ってきているという情報を得た奴らが引いていったおかげで大した死者は出ずに済んだらしい。
「そうか、良くやってくれた。待ってろ、今手当てさせてやる」
その鬼兵隊の奴の言葉に少しばかり安堵の表情を見せる高杉達だが、俺は安心何て少しも感じられなかった。
逆に不安ばかり押し寄せる。
…だって、いつもなら
「おい、誰かこいつの手当てを頼む!!」
「あ、はい!…えっと、誰かAちゃん呼んできてくれ!!」
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‟私これでも、看護のプロの卵なんです。だから怪我してる人はほっとけなくて”
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いつもなら、真っ先にけが人の手当てをしてるはずだろ――。
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1人の隊士がAの名前を出すと、援護兵だった奴らがスッと苦しそうに顔を伏せた。
そして、「Aちゃん、どこにも居ないんです」と唇を噛みしめてながら言う。
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「……冗談だろ」
「…あ、おい!銀時!!」
ヅラの声を無視して、Aを探す為走った。
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「…っ、…A!!!」
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しかし、部屋にも、食堂にも、ふろ場にも、トイレにも……あいつの姿はどこにも無かった。
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「…約束、したじゃねェか…!!」
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―――――それからAが俺の前に現れる事は一度もなかった。
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凛 - 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2022年12月1日 19時) (レス) @page26 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
Oub48c373260fof(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の終わり方がとてもよかったです。泣きそうになりました(泣)とても素晴らしいですね。とても気に入りました。また読みたいです。 (2017年10月9日 21時) (レス) id: 2fce3fa0b4 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 総悟13(低浮上)さん» ありがとうぅぅ(* ハ)やっとやっと完結できたよ…!!いつも応援してくれてありがとうね!ほんと感謝しかない!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
総悟13(低浮上)(プロフ) - 完結おめでとう!!ずっと待ってた!!とても素晴らしい最後だった、本当に!!こんなに素晴らしい作品をありがとう!! (2017年10月9日 17時) (レス) id: 56f522caa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったら銀魂の銀時か高杉の姉か妹がワールドトリガーかリボーンかアニメKの世界にトリップか転生した作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体にきよつけて更新頑張って下さい (2017年9月13日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年1月26日 18時