389、変なとこで聞き分けが悪い ページ43
アースが担架で運び出されている中、選手交代を呼びかける声が聞こえた。Aと坂野上を交代させるようだ。おそらくAの顔の怪我を懸念してのことだろう。
そこでAは我に返った。獰猛な小僧丸のプレイに立ち上がることも忘れ、見入っていたのだ。
ベンチへ退くべく顔の痛みを堪えて立ち上がろうとすると、Aを誰かの影が覆った。
顔を上げると、アツヤがAを見下ろしていた。
「……アツヤ？」
まだアツヤとは気まずいままだったので、少しだけ身構える。
だが、
「……大丈夫かよ」
そう優しく声をかけてもらえたことに少し驚いてしまった。まだ怒ってるかなと思っていたから。
「うん、平気…」
Aはそう答えたが、アツヤは背を向けてしゃがみ込む。
「乗れ」
「えっ」
アツヤの予想外の対応に素っ頓狂な声が出る。
「お前、今歩くのキツイだろ」
「だ、大丈夫だって。歩けないことないし…」
「乗・れ！」
「いや…本当にいいから」
アツヤへの申し訳なさと羞恥心でためらい、痛みは走るものの自分の力だけで立ち上がった。
それに痺れを切らしたアツヤは軽く舌打ちをし、一旦腰を上げるとAのそばまで歩み寄る。
そして再び背を向けるとAの両腕を取り自分の肩に乗せ、上半身を深く倒す。
「よっ…と」
「！？！？」
地面からAの足が離れると太ももを持ち上げられる。
つまり、アツヤに背負われる形になってしまっている。
「ちょっ…！ちょちょちょちょちょ！」
「おい、大人しくしてろ！」
Aが困惑しているのにも構わずアツヤはベンチに向けて歩き始めた。あまりにAが意地を張るものだから強制的な手を使ってきたらしい。
「アツヤ！マジでいいって！」
「うるせえ。もう遅いんだよ」
どれだけ訴えても、ベンチに着くまで下ろしてくれそうにない。
「最初っから素直に甘えてりゃ良いのによ、変なとこで聞き分けが悪いよな、お前」
と、歩きながらぶつぶつ文句を言うアツヤ。
「そりゃ誰だって嫌だよこんな状況…」
人に持ち上げられることって普段ないし、何より絶対重いから、恥ずかし過ぎる。
……それに…周りの視線が痛い。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
