271、マイナス ページ24
アラームの音で飛び起きた。
カーテンを開け、朝日を浴びる。
とうとう試合当日。
そう考えるとこの朝も、いつもと違うように感じる。
いよいよこの時が来た。ずっと、この日が来るのを待ち望んでいた。ずっとずっと。
ようやく今日、私の夢が叶う。
クラリオさんと同じフィールドに立つ。それが私の夢だった。
でもそれだけじゃあ意味がない。
同じフィールドに立ったとしても、勝たないとダメだから。
スタジアム行きのバスに揺られている間も、Aの顔はこわばっていた。
貴女「……」
深呼吸を何度か繰り返していると、前の席にいた剛陣に声をかけられた。
剛陣「おいA、大丈夫か？」
貴女「え…？は、はい大丈夫です…」
剛陣「でも、やたら疲れてね？」
貴女「そうですか…？」
疲れてるより、緊張してると言った方が正しい。
戦いたい戦いたいってずっと思っていた相手なばっかりに、変に興奮しすぎて緊張してるんだ。
落ち着け…。こんな状態じゃ、思うようなプレイなんて出来ない…。
……ああ、もしそれで失敗して、幻滅されちゃったらどうしよう…
せっかくの機会なのに…それを無駄にしちゃったら…
何より、私がジャパンの足を引っ張っちゃったら…
うわ…ダメだ。マイナスな方にしか考えが行かない。
大谷「Aちゃん本当に大丈夫？」
杏奈「バス酔い？」
貴女「…いえ、そうじゃないんですけど…」
大谷「お水飲む？」
貴女「あ…ありがとうございます」
受け取ったペットボトルの水をグッと流し込み、冷静になろうとする。
貴女(…とにかく、落ち着かなくちゃ)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
