天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。6【オリオンの刻印】 (ページ25)

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272、一次グループリーグ初戦ページ25

『FFI世界大会、一次グループリーグ初戦、日本代表対スペイン代表の試合が、今まさに始まろうとしています！』

スタジアムに実況と、観客の声が響き渡る。

「頑張って下さい！アメ玉ジャパンの皆さん！」観客席からそんなエールが飛んできて、スコーリオさんだとすぐに分かった。

『この試合の実況は私、マクスター・ランドが、そして解説には日本のサッカー実況の第一人者である、角間王将さんに来ていただきました！』
『よろしくお願いします』

あっ、角間さんだ。
いつもの人が解説にいてくれると安心するから嬉しいかも。

『おーっと！今両チームのスターティングメンバーが発表されたようだ！』
『王将さん、実況は私なんですけど…』

…角間さん…まだ実況魂が残ってるのかな…

2人のやりとりに苦笑いしているとシューズの紐の結び方が甘いことに気づき、屈んだ。

紐をキュッと結び直すと共に気持ちを切り替え、顔を上げた。

…行くよ。頑張れ私。

円堂「スペイン代表の強さは、みんなも知っている通りだ！けど、気持ちで負けるな！俺たちも厳しい戦いを乗り越え、ずっと強くなったんだからな！この試合、絶対に勝つぞ！」

チーム全体に気合を入れる円堂と同じように、スペインのキャプテンであるクラリオもチームに発破をかける。

クラリオ「日本代表に敬意を払い、全力で行くぞ！」

そんな2人のキャプテンを見て、失敗は許されない、そう思った。

氷浦「…A？どうかしたのか？」

貴女「…え、何が？」

氷浦「…いや…何か…」

様子が変だ。氷浦はそう思ったが、Aの不安を煽らないようにあえて言わなかった。

灰崎「おい、裏切り者はお前、なんてことはねえだろうな」

まだどんな人物かもわからないアツヤ相手に疑いをかける灰崎。アツヤは顔色一つ変えることなく言った。

アツヤ「当たり前だ。バカ言ってっとパス出してやんねーぞ！」

『日本代表対スペイン代表！今、キックオフです！』

来た。

笛の音で、アツヤ、灰崎らが上がっていく。

バラハ「行かせるかよ！」

『スペイン代表DF、レイナルド・バラハの見事なパスカット！』

バラハという少年の動きは速く、ボールはバラハからクラリオへ。

風丸「そいつにシュートを撃たせるな！」

クラリオ「無駄だ！」

貴女「…！？」

一気にディフェンス陣をかわすクラリオ。

まずい…！そう思った時にはもう遅く、シュートモーションに入っていた。