天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。6【オリオンの刻印】 (ページ21)

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268、引きずってるページ21

貴女「…大丈夫です。もっと頑張らないと、きっと役に立てませんから」

クラリオさんは、私に試合を楽しみにしてるって言ってくれて…。
監督だって、こんな私を大事な試合に出そうって決めてくれたんだから。

期待に応えないと。Aはそればかり考えていた。

風丸「…また焦って空回りしてるようにしか見えないんだが？」

…え？

風丸「…ベルガモから言われたこと、まだ引きずってるんだろ」

……何で分かるの？

風丸「…お前、本当はずっと我慢してたんだろ。俺たちに迷惑かけないようにって…」

…すごいなぁ。風丸さん…

本当に人のことよく見てくれてる。

…敵わないな。

「…だって…」風丸の問いに対して、ポツリと呟く。

貴女「…いつものことじゃないですか。私が他のチームの人にああいうこと言われるの」

サッカーをするにあたって自分の異名や性別が原因で何か言われるのは、今に始まったことじゃなかった。

貴女「だから今更、怒る気になんてなら…」

「本当か？」Aが全て言い終える前に風丸がそう聞いた。

風丸「ずっと溜め込んできたんじゃないか？」

貴女「…！」

図星だ。

すると、風丸がAに歩み寄った。

そして、優しく包み込んだ。まるで宝物を扱うように。

貴女「…！？」

風丸「…ほら、ここなら本音を言っても他の奴の耳には届かないだろ」

貴女「…か…風丸さん…？」

胸くらい貸してやるから、と、風丸はAの後頭部に手を回しながら優しく語りかけた。