Destiny

運命41 ページ41

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それからまた暫く経って、受験本番まであと一か月になった。


なんだか捗らなくて気晴らしに近くのカフェに来てみた。




　

「あれ、A」


「……先輩」






キム ソクジン。
一つ上の先輩で、私とユンギの唯一の共通の友人。

確か遠くの大学に行ってたはずだけど、なんでこんなところにいるんだ。



　


「久しぶりだね。もうすぐ受験でしょ？捗ってる？」


「捗ってたらこんなとこ来ませんって」


「あ、そっか。俺も昨日帰ってきて久しぶりにここに来てみたんだ」


「そうだったんですか」


「ユンギは元気にしてる？」


「変わんないですよ」






まあ二人とも頭いいもんね、なんて少し皮肉っぽく言った。


聞けば、もうすぐ受験で先輩の学部のところを使うらしくてしばらく休みらしい。


　



「弟がね、最近元気ないんだ」






ぽつり、と溢した言葉。

弟がいたことは知っていたけど、先輩がその話をするのは何気に初めてだった。



　


「高校生になってしばらくして、二つ上の人に一目惚れしたって意味わかんないこと言ってきてさ。それからもたまに電話すると楽しそうに話を聞かせてくれて。

あいつ、ほんとに楽しそうだった。
だから俺は何も言わなかった。あいつバカだけど、その子のことは本気みたいだったから」







先輩の話を聞けば聞くほど弟さんをあいつに重ねてしまった。




ううん。





気づいてないフリをしただけ。




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