運命21 ページ21
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「……好き」
「……うん」
「……ヌナは?」
「私は……」
「嫌いじゃない、でしょ。ふふ、ヌナのことならなんでも分かるんだからね、俺」
「……じゃあ、何も言わないほうがいい?」
「それはダメ。俺の知らないことはまだまだたくさんあるから。俺、ヌナのこと全部知りたいんだよ?」
ゆっくりと体を離されて、視線が交わる。あの日と同じくらい真剣な目で、でも少しだけ熱を持っていた。何故かは分からないけど目を逸らすことができなくて。
……こんなの、知らない。
「……ヌナ。俺のこと、好きになってよ」
「ねえ……」
「好きっ。大好きだよっ……」
「ねえってばっ……」
また私を抱き締めて、今度は涙を流す彼の背中に手を回すことしか出来なかった。
「……落ち着いた?」
「……うん。ごめんね、ヌナ。俺、抑えられなくて」
「大丈夫。気にしてないから」
「うん。ごめん……」
何もない静寂が私たちを包む。それが嫌で帰ろうか、と半ば無理矢理沈黙を破った。
抵抗する気もないのか、大人しく私の後ろを歩くキム テヒョン。
ほんと、今日はいつものキム テヒョンじゃない。あんなこと、したことなかったのに。
「ありがとう。ここで大丈夫だから」
「……うん」
「じゃあ、またね」
「ヌナっ!」
後ろを向いたと同時に聞こえた声。反射的に振り返れば、まだ俯いているキム テヒョン。拳を強く握っているのが見えて、何かに怒っているみたいだった。
「ヌナが俺を好きじゃなくても、違う人を好きになっても、それでも俺は……ヌナが好きだよ。
だから……俺、今のままでもいい?」
「……私がいつ、あんたに変われって言ったの?」
「……え?それは、言ってない、けど……」
「じゃあ勝手に決めつけないで。
私は何も、あんたに変わってほしいわけじゃない。それに、急に変わったらどんな反応すればいいか分かんないし」
「じゃ、じゃあっ……」
「……別に変わらなくていいんじゃない?」
「ヌナ……」
じゃあね、って言ってそのまま振り返らずに家路を急いだ。
後ろで聞こえたありがとうの言葉は聞こえなかったフリをした。
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閔(プロフ) - muuさん» コメントありがとうございます!そうですね......続編に行って続けるのは今の現状を考えると少し厳しいので、残り4ページを番外編に当てようかなと思います!短いですが、muu様に喜んでいただけるように頑張りますね! (2019年10月14日 19時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - その後の2人が気になります〜続編求めます! (2019年10月14日 19時) (レス) id: 8ac6b35584 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - honeyさん» ありがとうございます!ですよね!!テヒョン氏はイケイケか可愛いかのどちらかに分かれることが多い気がします笑 この作品では四次元5歳児テヒョン氏をメインでいれつつ、可愛さや男らしさも出していければと思っています!これからも頑張ります! (2019年8月15日 15時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
honey(プロフ) - 女遊びが好きなテヒョンもカッコよくていいけど、素直で可愛い一途のテヒョンもヤバすぎますっ!!!この作品大好きです!!頑張ってくださいっ!!! (2019年8月15日 15時) (レス) id: fe02d97946 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - いつきさん» いつきちゃん!ありがとう!ちょっとはじめてのジャンルなのでお先真っ暗ですが、頑張りますね!いつも応援ありがとう! (2019年8月13日 10時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:閔 | 作成日時:2019年8月13日 1時