31.あの頃 ページ31
.
「伊藤さん、この文章訳してもらえませんか？」
「分かりました」
「ここの字幕お願いします」
「了解です」
ワールドツアーもいよいよ明日に迫ってきた。
最初は韓国のライブからだけど、国内の計画はかなり前から終わっている。スタッフは常に先の先まで計画しなければならない。
特に他国でのツアーは大変。私の他にも何人か通訳担当がいるけれどその中でも私が一番話せる言語が多い。だから大抵の仕事は私のところに回ってくる。
「あ、伊藤さん」
「ナムジュンさん。どうしました？」
「今度のチリ公演、一応英語で言うことは決めたんですがスペイン語でも挨拶しようと思うんです」
「それで、私に教えて欲しいと……」
はい、と恭しく頼んできたナムさん。
確かに私はスペイン語もかじる程度に出来ますけれども。日常会話的なやつでいいのだろうか。でも変なことは言いたくないしなあ。
「……私で良ければ。完璧ではありませんが」
「ありがとうございますっ」
やめてくれ、ナムさん。ほんとにやっと会話が出来るくらいなんです。
そんな私の気持ちを知らないナムさんについて来てくださいと言われ、作業室に案内された私。
宿舎の作業室とは違ってフィギアはそんなになくて、曲作りのための機械がたくさんあった。
「これ……」
CDが収納してある棚の上に飾ってあった写真に目を奪われた。
写真の中にあったのはまだデビュー前の7人の写真。
まだみんな若くてオーラもない。だけどその目はデビューという夢を必死に追いかけている目だった。
彼らの経歴はもちろん知っている。
だけどこうしてデビューから5年経とうとしている今でもこの頃を大切にしているのを感じて胸が締め付けられた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 469人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
閔(プロフ) - nanaさん» ありがとうございます！申し訳ありません、苗字は固定です。ご期待に応えられず申し訳ありません...！ (2019年7月22日 19時) (
レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 更新たのしみにしています！苗字は変えられないですよね...? (2019年7月22日 19時) (レス) id: 1c8c31250d (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - ミイミイさん» わわわ、ミイミイ様！ありがとうございますっ！！ミイミイ様にそう言っていただけるなんて......嬉しすぎます！可愛いナムさん......いいですよね！私も大好きです！ミイミイ様に励まされて俄然やる気が出たのでこれからも頑張りますね！ありがとうございました！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: bb6f8ac404 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - 閔さんお久しぶりです！ニヤニヤしながら読ませて頂きました！その情景が想像できるリアルさがたまらないですっ(*´∀`)ナムさん可愛い！どんな展開になるか楽しみにしてます！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：閔
| 作成日時：2019年6月29日 18時
