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「話ってなんだよ」
「まあまあ。いいから座って」
久しぶりのテヒョンからの電話。
何かと思えば、話があるからうちに来てってそれだけ。
やっぱり親友だからか、それとも罪悪感からかは分からないけど来てしまった。
いつも通りのテヒョン。
それもそうか。お前は知らないもんな。
「で、話って?」
「もー。そればっかりだなあ。焦るなよ。
ほら、飲んでゆっくりしようよ」
そう言って、缶ビールを勧めてくる。
でも今はとてもじゃないけど飲みたい気分じゃなかった。
ゴクゴクと酒を口にするテヒョンを見つめる。
「……テヒョンさ」
「んー?」
「なんか俺に隠してない?」
「……何言ってんの?俺がお前に隠し事したことある?」
「ないよ。だから聞いてる」
「何それ。意味わかんないよ」
そう。テヒョンはいつだって、俺に嘘はつかなかったし隠し事もしなかった。
だから、不安で仕方ない。テヒョンが何を隠してるのか、Aが何を抱えているのか。
どうして俺じゃなく、テヒョンなのか。
「A」
「っ……誰?それ」
「知ってるだろ。
二人で仲良く電話してたもんね」
「ジミナっ……」
「二人して俺に隠し事してさ。
俺を騙すの、そんなに楽しかった?」
「やめろよ……」
「二人で俺のこと笑ってたんでしょ。
騙されてるバカだっ……」
「やめろって!!」
テヒョンと怒号と、頰に感じる鈍い痛み。
あぁ、殴られたんだなって。
そんなに必死になるなんて、珍しいじゃん。
やっぱり隠してたんだ。
二人を嘲るように笑みがこぼれた。
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閔(プロフ) - まなさん» 読者の皆さまに読みやすいように、綺麗に文章を書くよう心がけているので、そう言っていただけて嬉しいです。切なくも前向きなお話でしたが、皆さまにも伝わったらいいなあ...と思っています。ご愛読、ありがとうございました! (2019年12月25日 12時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
まな - 悲しいです。とても綺麗なお話でした。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: 77b6913256 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - じみちむさん» なんて嬉しいお言葉......私はじみちむ様のお言葉に今涙しています...笑 温かいお言葉、しみじみと感じております。本当に嬉しいです。ありがとうございました! (2019年12月25日 12時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
じみちむ(プロフ) - 泣いてます( i _ i ) (2019年12月25日 8時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - サヤさん» もうその一言だけで嬉しさが溢れてます(*^^*) サヤ様に私の気持ちが届いたのならよかったです。 本当にありがとうございました! (2019年12月22日 23時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:閔 | 作成日時:2019年12月20日 21時