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「……これ」
割れたお皿の後始末をナムジュンに任せて。
キッチンに残っているお鍋の蓋を開けた。
下の方は焦げてしまっているけれど、それは確かにおかゆ。
「作ってくれたの……?」
そう言うと、照れ臭そうに頰をかきながら立ち上がった。
「Aのために作ろうとしたんだけど……やっぱり俺には無理みたいだ」
「ナムジュナ……」
「ほとんど焦げちゃったから、捨てていいよ。
体にも悪いと思うから」
嘲笑うような、乾いた笑みを浮かべる。
きっとナムジュンは、今自分を責めていて。怒っていて。自暴自棄になりかけているんだ。
それは、ナムジュンの悪い癖。
まず第一に自分の欠点を責める。
私はそれが嫌いなの。
「Aっ、何して……」
「せっかく貴方が作ってくれたのに、食べないなんてできない」
自分が今風邪だってことも忘れて。
気付いたらナムジュンの腕を掴んでいた。
目を見開くナムジュンからお鍋を取って、おかゆを一口食べる。
「……おいしくないだろう?」
「うん。焦げた味しかしないね」
「……ごめん」
効果音がつきそうなほど落ち込むナムジュン。
その姿に思わず笑みが溢れる。
「ねぇ、ナムジュナ。
最初からできる人なんてどこにもいないんだよ。
たとえ失敗しても、私のために作ろうとしてくれたことが嬉しい。ナムジュンの気持ちが私はとっても嬉しいよ」
彼の顔を包んで。悲しげな瞳の彼と目を合わせる。
「だからね。自分を責めないで。
ナムジュンの気持ちはちゃんと伝わってるから」
「……うん」
ゆっくりと頷いたナムジュン。
それを見届けて手を離すと、ぐらりと揺れる視界。
ふらついた体をナムジュンがぎゅっと抱きとめてくれる。
あぁ、そんなに焦らないで。
大丈夫。少し無理しちゃっただけだから。
だけど、少しだけ休ませて。
そのままゆっくりと目を閉じた。
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閔(プロフ) - ナノカさん» ナノカちゃん!ありがとう(*´∀`*) ナムさんって愛の言葉はかっこよく言うと思うんです...だから最後は私の好きを詰め込みましたが、結果オーライですね!私もあんな彼氏ほしい...ただただ好き... 次のお話もキュンキュンしてもらえるように頑張ります!ありがとうね! (2020年5月24日 20時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - シンさん» いえ!こちらこそコメントありがとうございます!(*´∀`*) 不器用だけど、それ以上に彼女への愛が溢れるナムさん...かっこいいですよね( ; ; ) 私もキュンキュンしました笑 次のお話もよろしくお願いします!ありがとうございました! (2020年5月24日 20時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - あがしおんさん» わぁ!あがしおんさん!ありがとうございます(*´∀`*) 後半はとにかくかっこいいナムさんを書こうと頑張ってました笑 あがしおんさんの癒しになっていたならとても嬉しいです!今後のシリーズもよろしくお願いします!ありがとうございました! (2020年5月24日 20時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 閔ちゃん完結おめでとう!不器用なのにさらりと愛を囁いちゃうずるいナムジュンにキュンキュンしながら読んだ( ; ; )はあんあんな彼氏ほしい…と心で悶絶してます(笑) (2020年5月24日 19時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
シン(プロフ) - 閔さん» お返事ありがとうございますそして完結おめでとうございます!!!!不器用なのにさらっとかっこいいこと言えちゃうナムさん大好きです!もう最後キュンキュンが止まりませんでした!素晴らしい作品をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2020年5月24日 11時) (レス) id: 77e8e0a85d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:閔 | 作成日時:2020年4月11日 16時