Je t’aime

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「ん……」







目が覚めてもしかしたら、って隣を確かめたけどそこはもう冷たくなっていた。


リビングに出ると、テーブルにはジンさんが作ったであろうご飯と置き手紙があった。





　

「相変わらず、ジンさんらしいね」







医者である彼に休みはない。
たとえ休みであっても緊急の患者が入ればすぐに駆けつける。それに加えて副院長の仕事もある。



それだけ忙しいのに少しでも時間ができれば電話をしてきてくれて、休みの日は必ず私に会いに来てくれる。


ジンさんの思いに気づいていないわけじゃない。
それでも、私はジンさんの思いには答えられない。





　

「……ごめんね」







特にすることもなくてソファに寝転ぶ。


家よりもずっと広い部屋はどこか虚しくて。
リビングで一人でいるのはどこか寂しくて。



スマホを開けば遊び仲間何人かから誘いのメールが来ていた。
だけど乗り気にはなれなくて。見ずに全部消した。






目を閉じて思い出すのはやっぱりナムジュンの姿で。
彼の思いを私が守らなきゃって、そう思ってたはずなのにここ最近は何故かそれが苦しい。


だって、彼とジンさんは全く似ていない。顔も性格も。



なのに、ふとした時に見せる表情、時折かけてくれる言葉。それがどうしても彼に重なって。
昨日だってそう。ジンさんの前で彼のネックレスはつけたことないのに、プレゼントはネックレスで。


それが更に彼に重なってしまった。





　

「……ちがう。ジンさんはナムジュンじゃない。
重ねちゃ、ダメなんだよ」







そう言い聞かせることしかできなかった。



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