星降る夜 (ページ4)

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広がっていたのは満天の星空と見渡す限りの草地。煌々と照らされた背の高い青草が時々、魚の鱗のように光っている。

草垣の中に入ってみると高く伸びる草と星空しか見えず、まるで世界に自分だけしかいないような錯覚に陥る。

見上げていた空からいくつもの星が流れ落ちるのが見え、本来の目的を思い出し慌てて草地の中を星を探して彷徨う。

しかし自分の背丈程もある草を掻き分けて進むのは至難の業で、なかなか見つけらない。

こんなに背の高い草むらなんてあっただろうかと昔の記憶を思い起こそうとするが、十年も経てばこれくらい伸びるのかもしれないと思うと曖昧な記憶が更に曖昧になる。だがこの先に自分の目的地があるのは間違いない気がして、ひたすら草を掻き分けて進んだ。

どのくらいそうしていただろう。

ふいに辺りから自分ではない草を掻き分ける音が聞こえてきた。

考えてみればここは私有地でもないし、来ようと思えば誰でも来られる場所だ。自分以外の人がいたとしてもなんらおかしいことではない。

職業柄、若干の緊張感を持ちながら近づいてくる音を待つ。

一際大きな音がして掻き分けられた草の向こうには、よく知った顔があった。