星降る夜 (ページ13)

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「ところで北山は、なんでそんな大きいリュック背負ってんの？」

星を食べ終えた藤ヶ谷が、唐突にそんなことを聞いてきた。

「あ、これ？今日はここに泊まろうと思って、キャンプグッズ持ってきたんだ」
「は？ここで泊まるの？」
「どうせだったら星見ながら寝ようかなって」
「馬鹿だろ。仮にも自分がアイドルだって自覚持てよ」
「誰もこねーじゃん」
「そんなのわかんないだろ。なんかあってからじゃ遅いから」

藤ヶ谷の言うことは尤もだと思うが、頭ごなしに言われると癪に障ると言うか素直になれないと言うか。

「俺もガヤの意見に賛成だよ。こんなところで寝るなんて、なんかあったら大変だよ。星が見たいなら近くのホテルに泊まればいいじゃん」
「そうなんだけど」
「ミツが泊まるなら俺もホテルに泊まるし」
「え、そうなの？」
「誕生日の夜を一人で過ごさせるなんて出来ないよ。大したお祝いは出来ないけど、コンビニでケーキ買ってお祝いしよう」
「たま……」

玉森の優しさに涙ぐみそうになっていると、藤ヶ谷が割って入って来た。

「え、泊まるの？仕事は？」
「普通にあるけど」
「俺も昼前から仕事」
「だったら帰った方がよくない？その方が絶対明日楽じゃん」

またもや藤ヶ谷の言うことは尤もなのだが、元々ここに泊まる気で来ていた俺は今更帰る気分になれない。

「ガヤは帰っていいよ、俺たち泊まるし」

俺の気持ちを察してくれたのか玉森が言う。

「……同じ部屋に泊まるの？」
「それはどうだ」
「当たり前じゃん、一緒の部屋じゃないとお祝いできないし」

あ、一緒の部屋に泊まるんだなんて思いながら話を聞いていると藤ヶ谷が盛大に眉間に皺を寄せた。

「…………るし」
「え？」
「俺も泊まるしっ！」

怒鳴る勢いに驚き、背筋がピンと伸びる。

「えー、ガヤも泊まるの？」
「嫌なのかよ」
「どちらかと言うと」

喧嘩してると思ったのは間違いだったのかと思っていたが、やっぱり喧嘩しているのだろうか。でも喧嘩してたら一緒に泊まるとか言わないよな、と思いながら二人を見上げる。

「とにかく泊まるから」

言いきった藤ヶ谷は、本当に昔の藤ヶ谷みたいだった。玉森も弟のように俺に甘えてくれていた時みたいで、なんだか頬が緩んでしまう。