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ますます様子のおかしい藤ヶ谷にどうしたものかと思っていると、玉森が後ろから抱きついてきた。
「ミツー、俺は? 俺は可愛い?」
そう言って背中に頭をぐりぐり押し付けてくる。その姿が大型犬みたいですごく可愛い。
「んはは、たまは昔からずっと可愛いよ」
肩越しに振り向いたらすぐ近くに玉森の顔があって、心臓が跳ねる。
「可愛いだけ? カッコ良くない?」
「や、カッコ良いけど……てか顔が近い」
少し寄れば触れるくらい近くにある顔に恥ずかしくなって首を反らすと、離れた分玉森が近づいてくる。
「ミツ、照れてる」
そう言って抱きしめる腕を強めてきたから更に顔が近づいて、鼻が触れそうになる。
「ちょ、たまっ」
焦って体を離そうとするが、がっちり抱きしめられていてびくともしない。
玉森はびっくりするくらい真っ直ぐこっちを見つめていた。なんだか目が離せず見つめ返すと、玉森の顔が焦点が合わなくなってくる。
「たま、いい加減にしろ」
その声と共に体が解放され、見ると藤ヶ谷が玉森を俺から引き剥がしていた。
「ちょっとガヤ、痛いんだけど」
「ふさけすぎだ」
取られた腕を引き大袈裟に痛がって見せる玉森を、藤ヶ谷が睨み付けている。
「え、もしかして喧嘩してんの?」
さっきから感じている違和感が強くなり聞いてみると、二人は少し目を大きくしたあと複雑そうな顔をした。
「喧嘩なんてしてないよ。お願いする前に、ちょっとアピールしてみただけ」
アピール? 星に? 神様に?
玉森の言葉が理解出来なくて首を傾げると「わかんないかぁ」て苦笑いされる。
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年9月17日 0時