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「藤ヶ谷」
呼ばれた名前に心臓がぎゅっと音を立てる。
なにも答えず視線を向けると、北山は真剣な表情で見つめ返してきた。
「長い間、待たせてごめん」
一度深呼吸をしてから、北山は小さく頭を下げた。
「北山は最初に期間を教えてくれたから、俺は焦らず待つことが出来た。この一か月、北山と沢山いられたし、むしろありがとうだよ」
頭を下げられると不安が襲ってきて、早く頭を上げて欲しくて言葉を紡ぐ。
「最初、藤ヶ谷に好きだって言われた時すげーびっくりした。好かれてるどころか若干、嫌われてんじゃねーかって思ってたから」
頭を上げた北山は、思い出すように目を細めて話し出した。
「でも藤ヶ谷、真剣だったから本気なんだって思った。俺のどこが? とか、いつから? とか色々思ったけど男でメンバーで、しかも俺にこんなこと言うのってどれくらいの勇気が必要だったんだろうって思ってさ」
そこで一旦言葉を切って、北山はまっすぐ俺を見つめた。
「だから、俺もちゃんと考えないとって思った」
聞きながら、目頭が熱くなってくる。
告白の返事をされようとしているこの瞬間、また北山を好きになった。
「最初はさ、藤ヶ谷と付き合うってどんな感じなのか想像出来なかった。でも、この一か月一緒にいてこんな感じなのかって」
「どんな感じだった?」
「んー、思ってた以上にキングだった」
「なにそれ」
「すげー優しいし、甘い言葉とか言ってくるし、さすがだなって」
「さすがとかないし。言っとくけど、いつでもあんなじゃないから。多分めちゃくちゃわがまま言う時だってあるし」
「んはは、それって言っていいやつなの?」
「あんまよくないけど、思ってたのと違うとか言われても嫌だし」
北山はやっぱ藤ヶ谷って面白いなって、独特な笑い声を上げた。
「ずっと一緒にやってきたけど、知らない顔がこんなにあるんだって思った」
優しい顔で目を細める。
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くらげ(プロフ) - まいまいさん» まいまい様、こちらにもコメントありがとうございます!FさんはYさんの事がなかったら一生Kさんに気持ちを伝えなかったかもしれないので、本当にYさんのおかげで踏み出せました!Kさん、めちゃくちゃ考えたと思います(*´-`)こちらこそ幸せな気持ちになりました(*´ω`*) (2020年8月29日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 良かったです!!!不器用なFさんがいつまでもウジウジしているのかと思ったら、Yさんのお陰で勇気を出せましたね!受け入れてくれたKiさんの懐の深さにも感動しました。とても幸せな気分になりました。ありがとうございます♪ (2020年8月28日 20時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - たこさん» たこさん、初めまして!読んで頂けた上に続編希望と言ってくださり本当にありがとうございます!(*≧∀≦*)今後短編集などを書く機会があればその後の2人も書けたらいいなーと思っております(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました!とても嬉しかったです! (2019年3月14日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
たこ(プロフ) - くらげさん、すごく楽しかったです。yさんの気持ちもfさんの気持ちもズーンときました。 両思いになった二人の話も気になります。続編あったらいいなぁ〜。希望です((笑)) (2019年3月13日 20時) (レス) id: ad6411952c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mitsuさん» mitsuさん、前作に引き続きコメント本当にありがとうございます!目の色の描写好きと仰って頂いた上にまだ終わらないでなんて思ってくださって嬉しいです(〃ω〃)関係性を踏まえて横尾さんならと思いながら書きましたが良かった!笑 私の方こそありがとうございます! (2018年8月19日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年7月20日 0時