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渉が帰ってからしばらくして、北山が控え室に戻ってきた。
「あれ、横尾さんは?」
姿だけじゃなく荷物もないことに気が付いた北山が、首を傾げながら俺に聞いてくる。
「なんかどうしても外せない予定が入ったみたいで、今日は帰るって言ってた。北山にごめんって言っといてって」
「あ、そうなんだ。まあ急用じゃ仕方ないか」
言いながらしょんぼりと肩を落とす様子に嫉妬と愛しさが入り混じり一瞬、無言になる。
「じゃあ俺、帰るな」
無言の空間に耐えられなかったのか手早く荷物を片付けた北山が、鞄を持ってドアに足を向けた。
「北山さ、このあと予定あるの?」
「俺? まあ予定なくなっちゃったから誰か飯誘おうかなとは思ってるけど」
「あのさ、渉が予約した店まだキャンセルしてないみたいなんだよね。だから、まだ予定決まってないなら一緒に行かない?」
「藤ヶ谷と?」
俺の言葉に目を丸くし見つめてくる。
「北山が嫌じゃなければだけど」
まじまじと見つめてくる視線に耐えられなくて言ったが、そう言えば北山が断らないことも知っていた。
「嫌とかないけど、藤ヶ谷が誘ってくるとか珍しいな」
「キャンセルしたらお店の人に悪いし」
「はは、そうだな。じゃあ、行くか」
こんな時でも素直になれない俺を、北山は笑ってくれる。
仕事を離れた北山のことなんて何一つ分からないけど、北山が優しいことは昔から知っていた。
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くらげ(プロフ) - まいまいさん» まいまい様、こちらにもコメントありがとうございます!FさんはYさんの事がなかったら一生Kさんに気持ちを伝えなかったかもしれないので、本当にYさんのおかげで踏み出せました!Kさん、めちゃくちゃ考えたと思います(*´-`)こちらこそ幸せな気持ちになりました(*´ω`*) (2020年8月29日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 良かったです!!!不器用なFさんがいつまでもウジウジしているのかと思ったら、Yさんのお陰で勇気を出せましたね!受け入れてくれたKiさんの懐の深さにも感動しました。とても幸せな気分になりました。ありがとうございます♪ (2020年8月28日 20時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - たこさん» たこさん、初めまして!読んで頂けた上に続編希望と言ってくださり本当にありがとうございます!(*≧∀≦*)今後短編集などを書く機会があればその後の2人も書けたらいいなーと思っております(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました!とても嬉しかったです! (2019年3月14日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
たこ(プロフ) - くらげさん、すごく楽しかったです。yさんの気持ちもfさんの気持ちもズーンときました。 両思いになった二人の話も気になります。続編あったらいいなぁ〜。希望です((笑)) (2019年3月13日 20時) (レス) id: ad6411952c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mitsuさん» mitsuさん、前作に引き続きコメント本当にありがとうございます!目の色の描写好きと仰って頂いた上にまだ終わらないでなんて思ってくださって嬉しいです(〃ω〃)関係性を踏まえて横尾さんならと思いながら書きましたが良かった!笑 私の方こそありがとうございます! (2018年8月19日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年7月20日 0時