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やっぱりパンを届けに行こうと携帯電話を取り出すと、少し離れた場所に北山の姿が見えた。
「きた……」
声を掛けようとすると、北山の隣に女性がいるのが見えた。
年齢は親より少し若いくらいの派手目な女性。彼女というには年齢差があり過ぎる。北山はスーツを着ていたが、今日は仕事は休みのはずだ。
両手に荷物を抱えている姿はまるで……。
「ママ活?」
いや、そんなこと北山がするはずないと頭を振る。それに思い出せないがあの女性、誰かに似ている気がする。
記憶を掘り起こしていると、二人は高級家具ブランドに入っていった。
どうしようかと思ったがパンを持ったままでは入れないし、仕方なく近くのカフェに入り店の入り口を見張る。
温かかったクロワッサンもすっかり冷め、さすがに水だけというわけにはいかずスムージーを頼み一時間半が過ぎた頃、二人が出てきた。
慌てて会計を済ませ外に出ると中年男性も一緒で、何やら会話をしている。
建物の陰に隠れ見つめていると女性はタクシーに乗り、男性も北山と握手をすると建物の中に入っていった。
今だ! と急いで飛び出してからゆっくり近づき、何事もなかったように声を掛ける。
「北山」
「えっ、藤ヶ谷?」
「用があって店の前まで行った帰りなんだけど偶然だね」
「そうなんだ。すげー偶然だな」
「ね。あと久しぶりにあそこのパン屋寄ったの」
そう言って袋の中身を見せると「クロワッサン美味いんだよなー」と欲しい答えをくれる。
「北山これ好きだったでしょ? あげようか?」
「マジ?」
えへへと嬉しそうな顔をする北山。
デザインを見て欲しいと家に行ってからも、毎日欠かさずメッセージのやり取りはしていた。ただ俺のデザインが採用され中心で動くことが多くなり、あの日から会えていない。
玉森に会っているのかと聞いても、さあねとはぐらかされる。加えて最近、玉森のガードが前より強いというか距離がある気がしていた。
それがどんな理由かは分からないが、北山と何かあったんじゃないかと心配になる。
それとなく北山に聞いても特にと答えてくれないし、文面で深く突っ込むと返事が来なくなりそうで聞けない。しかも北山も何だか忙しそうで、最近はメッセージのやり取りも短かった。
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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時